研究課題/領域番号 |
15K00347
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
高橋 良英 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10347841)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | TDGA / Immune-GA / BLX-α / Function Optimization / Diversity Measrement |
研究実績の概要 |
<IEEE CEC 2016論文投稿採録> 以下のタイトルでIEEE Computational Intelligence Society主催の国際会議IEEE CEC (Congress on Evolutionary Computation)2016に論文投稿したところ、論文は採録された。国際会議は、7月24日から7月29日に、CanadaのVancouverで開催予定であり、そこにて論文を口頭発表予定である。 <論文タイトル>Verification of Thermo-dynamical Genetic Algorithm to Solve the Function Optimization Problem through Diversity Measurement <論文要旨> 関数最適化問題を遺伝的アルゴリズムで解く場合に,集団の多様性を確保しながら効率的探索を実現する方法として,熱力学的遺伝アルゴリズム(TDGA: Thermo Dynamical Genetic Algorithms) による手法が有効であることを実験により検証する。そこでは,「集団の多様性を確保することにより,最適解探索率や探索解の精度を向上できる」という仮説を,実験により,定量的に検証する。その際,集団の多様性をTDGAで定義されたエントロピーで定量的に測定する。TDGAは熱力学における自由エネルギー最小化の原理に基づく個体選択法である。その原理を遺伝的アルゴリズムに応用する際,平均エネルギー<E>が最小となるように,かつエントロピーHが最大となるように個体群を選択している。本検討では,集団の多様性制御の観点から,TDGAによる手法が有効であることをimmune-GA (immune Genetic Algorithms)による手法や単純GA手法やスケーリングウィンドウを持ったGA手法と実験的に比較評価することにより検証した。本実験では、De Jongの標準関数を含む10個の良く知られた標準テスト関数を用いた。それ等は、De Jongの標準関数F1からF5と、多蜂性関数として良く知られた5つの関数(Schaffer's F6 function, Rastringin's function, Schwefel's function, Griewank's function, Ackley's function)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の機能試験は不充分であり試験を補充する必要がある。 (1)Jerneの免疫システムの恒常性に関するイディオタイプネットワーク仮説に基づく最適化モデルであるImmune-GAの有効性について詳細検討すること。 (2)HpS法がルーレット法に比較して有効な親選択法であることを実験的に検証すること。 (3)現状のTDGAでは、熱平衡状態になった時にシミュレーテッドアニーリングの調整パラメータである温度を下げる機能を実現している。本検討では、これに加えて多様性が少なくなったら温度を高くする機能を実現し、その有効性を実験的に検証すること。 (4)Scaling Window技法にて最適なWindow sizeを選択する方法を実験的に検証すること。 (5)現状の我々が開発したTDGAはScaling Windowを持ったGAを前提に実現している。このTDGAがScaling Windowを持たないGA上で実現されたTDGAに比較して機能的に優れていることを実験で検証すること。
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今後の研究の推進方策 |
(1)国内に研究成果を普及させるため、IEEE CEC 2016で採録された国際会議論文を整理し、日本の学会誌(IPSJ)に投稿すること。 (2)以下に述べるような新たな着眼点で論文を作成し,2016年12月にIEEE主催で開催予定の国際会議IEEE SSCI (Symposium Series on Compuational Intelligence) 2016に論文投稿すること。 「遺伝的アルゴリズムの初期収束の問題を解決する手法として,遺伝子交叉オペレータ交代法が有効であることを実験により検証する。遺伝子交叉オペレータ交代法は,「集団の多様性を確保しつつ,解探索効率を向上させること」という,遺伝的アルゴリズムに対する相反する要求のバランスを保ちながら解探索を行う方法の1つである。遺伝子交叉オペレータ交代法は,集団の多様性を測定しながら,遺伝子交叉オペレータを広域的探索法から局所的探索法,局所的探索法から広域的探索法へと動的に切り替えて解探索を行う。これにより,一つの遺伝子交叉オペレータでは局所解に陥り易いという問題を回避する。本実験では,関数最適化問題を例題として,Two-point CrossoverからBLXに切り替える方法,SPXからBLXに切り替える方法が,Two-point CrossoverやBLXやSPX等の単独の交叉法より解の探索効率や解探索精度が向上することを実験で検証する。実験に使用する関数は多峰性関数であるShubert's functionとSix-hump came back functionである。」 (3)アントコロニー最適化手法ACOによる関数最小値探索問題を研究し、その成果を国際会議 ANTS 2018で発表すること。 (4)現状SPX(Simplex Crossover)は、生成個体の選択数を(変数数+1)としているが、これを可変とした場合の解探索精度と解探索率の関係を検討すること。 (5)TDGAの性能向上策について検討すること。
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次年度使用額が生じた理由 |
(1)科研費の交付決定が平成27年11月だったことから、平成27年度中に開催される国際会議に間に合わせて論文を作成、提出することが困難であったこと。 (2)国際会議WCCI2016(IEEE CEC 2016)や国際会議IEEE SSCI2016に投稿予定の論文の仮説を検証するためのプログラム開発とその実験ならびに実験結果データの整理、論文の新規性等の検証(関連論文の調査)に時間がとられたこと。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)昨年度予算分については、本年度(2016年)12月に開催されるIEEE主催の国際会議SSCI(Symposium Series on Computational Intelligence)(Athens, Greeceで開催予定)に論文投稿する。論文が採録された場合、会議への参加費や、論文発表のための海外渡航費に使用する予定である。 (2)上記国際会議に提出する論文は英文で執筆するが、執筆した英文の添削・校正費に使用する予定である。
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