研究課題
脳などの神経系や蝸牛などの感覚器は非線形システムであり,入力の変化に伴ってシステムの振る舞いが定性的に変化する場合が多い.そのような現象の変化は非線形システムの分岐現象として捉えることが出来る.そのような分岐現象には,標準形と呼ばれる,ある意味においてミニマムな動作方程式が存在する.すなわち,「神経系や感覚器の非線形現象とそれらに由来する機能をVLSI上に再現するためには,神経系や感覚器が呈する様々な種類の分岐現象の標準形を適切に電子回路として再現することが重要」である.一方,私たちの研究グループではこれまでに「非同期分岐プロセッサ」と呼ばれる非線形ベクトル場の効率的なVLSIへの実装方を構築してきた.平成29年度は,以下のようなテーマに取り組み,研究実績を得た.(1) 27年度には,特定の種の内耳の非線形応答特性を再現するための非同期分岐プロセッサの構成法を提案した.28年度は,複数の種の内耳の非線形応答特性を再現するために非同期分岐プロセッサの構成法の一般化に取り組み,計算機実験によって非同期分岐プロセッサが複数の種の内耳の非線形応答特性を再現できることを示した.これに対して29年度は,提案内耳モデルの効率的な実装法の開発に取り組んた.(2) 27年度には,神経細胞の細胞体の膜電位の非線形ベクトル場を効率よく再現するための非同期分岐プロセッサの構成法を提案した.28年度は,樹状突起の動作を効率よく再現するための非同期分岐プロセッサの構成法を提案し,樹状突起を用いた神経細胞の学習機能を非同期分岐プロセッサを用いて実装した.これに対して29年度は,提案学習モデルの効率的な実装法の開発に取り組んた.
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IEEE Transactions on Circuits and Systems Part II
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1109/TCSII.2017.2760509
巻: 64 ページ: 1107 - 1111
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Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
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