研究課題/領域番号 |
15K00355
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研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堀内 匡 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (50294129)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知能ロボティクス / ニューラルネットワーク / 強化学習 / 行動獲得 |
研究実績の概要 |
本研究では,CPG(Central Pattern Generator)と強化学習を用いて,実機の多脚ロボットが障害物を回避しながら目標地点に到達するなどの複数タスクを遂行する歩行動作の獲得を実現する.そのために,それぞれのタスクを遂行する各行動モジュールをCPGと強化学習を用いて実現する.さらに,多脚ロボットの状況に応じて,行動モジュールの出力を統合する上位モジュールを導入したマルチタスク環境での行動学習システムを構築する.CPGは生物におけるリズム運動を生成する神経振動子モデルであり,本研究では結合振動子系を用いて実現する. 本年度は,本研究の第一目的である「CPGと強化学習を用いた多脚ロボットの目標到達の歩行動作獲得(行動モジュール1)」に重点を置いて,研究実施計画に基づき研究を進めた.具体的に,ROBOTIS社のロボット製作キットBioloidで製作した六脚ロボットと四脚ロボットの二種類のロボットを対象として,目標地点に向かう歩行動作の獲得を実現した.また,本研究の第二目的である「CPGと強化学習を用いた多脚ロボットの障害物回避の歩行動作獲得(行動モジュール2)」についても実現することができた.さらに,本研究の第三目的である「複数の行動モジュールの出力を統合する機能の実現」に向けて,物理計算エンジンODE(Open Dynamics Engine)を用いて,六脚ロボットおよび四脚ロボットのシミュレーション環境を構築することができた. これらの研究成果に関して,電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌),電気学会電子・情報・システム部門大会,電気学会システム研究会,日本知能情報ファジィ学会中国・四国支部大会,電気学会全国大会などにおいて成果発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,CPGと強化学習を用いて,実機の多脚ロボットが障害物を回避しながら目標地点に到達するなどの複数タスクを遂行する行動の獲得の実現を目指している.本年度は,本研究の第一目的である「CPGと強化学習を用いた多脚ロボットの目標到達の歩行動作獲得(行動モジュール1)」を実現するとともに,第二目的である「CPGと強化学習を用いた多脚ロボットの障害物回避の歩行動作獲得(行動モジュール2)」についても実現することができた.さらに,本研究の第三目的である「複数の行動モジュールの出力を統合する機能の実現」に向けて,物理計算エンジンODEを用いて,六脚ロボットおよび四脚ロボットのシミュレーション環境を構築することができた.これらの成果の一部を雑誌論文(査読付論文)として投稿し,採録された.以上の本研究の進展を踏まえ,現在までの進捗状況については,当初の計画以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず本研究の第三目的である「複数の行動モジュールの出力を統合する機能の実現」を引き続き進める.具体的には,本年度に構築した六脚ロボットおよび四脚ロボットのシミュレーション環境を活用して,複数の行動モジュールの出力を統合する上位モジュールの実現方法を検討し,シミュレーション環境および実機環境における評価実験を実施する.さらに,凹凸のある不整地環境での実機実験,ロボカップサッカー小型リーグのフィードを利用した広いフィールドでの実機実験,複数個体の多脚ロボットを用いたマルチロボット環境における実機実験など更なる発展について検討する.
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