研究課題/領域番号 |
15K00356
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
久保田 良輔 宇部工業高等専門学校, 制御情報工学科, 教授 (50432745)
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研究分担者 |
堀尾 恵一 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (70363413)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝的アルゴリズム / ナース・スケジューリング / 階層型進化的計算法 |
研究実績の概要 |
本応募研究では,看護師等の労働負荷を軽減し,質の高い医療サービスを提供することを目的として,大規模なナース・スケジューリング問題を階層的最適化問題として定式化し、効果的に求解する進化的計算法を開発することを目的としている. 今年度は,ナース・スケジューリング問題における評価関数の階層化に取り組み,遺伝的アルゴリズムに適用することで,その効果を検証した.具体的には,勤務表における違反数を評価点とし,総合評価点が低いほど良い勤務表とした.また,総合評価点は,各評価条件の評価点の和とした. 本研究では,まず,評価条件を3つのグループに分け,優先度の高い階層から順に,グループ1,グループ2,グループ3として,優先度の高い階層の条件が満たされている個体ほど,優秀な個体として扱うこととした. 提案手法の有効性を検証するため,従来の評価関数に基づく遺伝的アルゴリズムとの比較を行った.比較した結果,従来手法では違反勤務数を0にはできなかったのに対して,提案手法では違反勤務数を0にすることができた. また,探索手法の1つである粒子群最適化法において,その改良アルゴリズムの開発を行った.具体的には,探索に使用する粒子についても,いくつかのグループに分割し,分割された各グループ内の最良位置を考慮することで,従来手法と比較して探索の効率化を図ることが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価関数の階層化および階層型遺伝的アルゴリズムの開発については順調に進んでいるが,知識抽出アルゴリズムの開発が若干遅れている.知識抽出アルゴリズムについては,データ間の類似性の表現方法が数多く存在し,またその計算アルゴリズムも多岐に渡るため,類似性の選定と評価に時間を要している.この状況を鑑みて,データ解析やデータの低次元化の専門家をH28年度から研究分担者として追加することとした. また,階層型遺伝的アルゴリズムの開発についても,おおむね順調に進展しているものの,評価関数を階層化することである程度の有効性を示すことができたことから,評価の階層化と探索空間の階層化をそれぞれの観点から評価する必要が生じたため,階層型探索アルゴリズムの専門家をH28年度から研究分担者として追加することとした.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度に提案した階層的評価関数の微修正と,この基準に基づいた知識抽出アルゴリズムの開発を研究分担者と協力して行う予定である.具体的には,局所記号パターン同士の隣接関係を構築し,局所的な部分探索空間を構成するアルゴリズムを確立する.その際に,評価における階層的な評価基準に基づいて局所記号パターン同士の類似性を定義することを検討する予定である. また,上記のアルゴリズムとの整合性を図りながら,階層型進化的ナース・スケジューリング法の開発を行う.具体的には,実行可能な特徴的記号パターンの組み合わせで局所的な最適化問題を構成し,これらの最適な組み合わせを研究分担者らと研究代表者がこれまでに共同で開発した階層的複数解空間競合型進化的計算法を拡張することによって求めることにより,探索空間の効果的な階層化と次元圧縮を行う予定である.また,進化的計算法における効率的な探索を実現するため,研究代表者によってこれまでに開発された次世代個体集団の配置決定法の概念を取り入れ,効率的な探索を実現したいと考えている. 特に,H28年度から2名の研究分担者を追加したことで,研究の進捗は向上すると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度,高速な計算機を購入する予定にしていたが,研究分担者の追加を検討する必要が生じたため,予算配分の再計画を行わざるを得なかった.また,人件費・謝金については,現状では人工データのみを使用して研究を遂行しているため,病院への依頼の必要がなかったため,使用に至らなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
計算機については,再計画した結果に基づいて,購入予定の計算機の仕様を再確認し,H28年度予算と合算して今年度中に購入する予定である.
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