研究課題/領域番号 |
15K00362
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
朱 赤 前橋工科大学, 工学部, 教授 (20345482)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / 脳波 / 外骨格ロボット / パワーアシスト |
研究実績の概要 |
平成28年度では、前年度の脳波による肘関節と肩関節の人の1次元の力またはトルクの推定の結果を踏まえ、主成分分析を用いて人の運動意図である表面筋電位と脳波の線形モデルを構築することで、脳波から表面筋電位および肘と肩のトルクを推定出来ることを示した。また、脳波の中に含まれるα波とβ波のパワースペクトルの周期性の変化が、表面筋電位の振幅と相関があることを突き止めた。これらの結果を応用し、主成分分析による線形モデルで学習される入力信号に周期パワースペクトルを用いることで、更新を必要としない推定モデルを作成し、その有効性が示された。 上記の結果により、脳波から推定された関節トルクを入力信号として被験者と実際の筋電と推定筋電によってロボットアームの制御実験を行った。被験者が力を入れると共に脳波から関節トルクが推定され、ロボットアームが屈曲し、被験者が力を抜くとロボットアームが伸展する。これにより、脳波の周期パワースペクトルから人の関節トルクを推定し、脳波によるロボットアーム操作を行うことが出来た。現在は、肘関節と肩関節の人の1次元の力またはトルクの推定から、肘と肩が連動できるように2次元の力・トルク情報の推定を行っている。 さらに、前述した手法を開発すると同時に、装着型軽量上腕パワーアシスト装置を開発した。このパワーアシスト装置を本研究の実験プラットフォームとして使う予定であり、現在は製品化を向けて国内のある大手企業と共同研究を行っている。 以上の研究により、査読付きの雑誌論文2篇、査読付きの国内会議論文4篇、査読付きの国際会議論文6篇、国内学会発表28回、2回の発表優秀賞を受賞された研究結果になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
述べたように、平成28年度では、前年度の結果を踏まえ、脳波から表面筋電位および肘と肩のトルクの推定は高い精度で得られた。また、脳波の中に含まれるα波とβ波のパワースペクトルの周期性の変化が、表面筋電位の振幅と相関があることを確認し、実機でロボットアームの1関節の屈曲・進展実験も確認された。現在は、肘関節と肩関節の人の1次元の力またはトルクの推定から、肘と肩が連動できるように2次元の力・トルク情報の推定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度では、前年度で行った脳波による肘関節と肩関節の人の1次元の力またはトルクの推定から、多次元の力・トルク情報の推定をさらに行い、その技術を確定すると共に、常に変化している脳波に対応する学習機能や使用者の運動想起の負担を軽減する適応機能を導入し、リアルタイム制御技術を含む装着型多自由度の外骨格ロボットを対象とする脳波を用いたパワーアシスト技術手法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に開発した装着型軽量パワーアシスト装置の改造・制作費の支出は元の計画より、節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
学生の国際会議の参加費として使う予定である。
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