快適な住環境や職場環境の実現には,清掃や整頓が不可欠である.特に,使用した道具を所定の場所に片付ける,いわゆる「整頓」は,その環境における作業者の作業効率を向上させることが知られている.近年「お掃除ロボット」の普及など,清掃の自動化は進められている.一方で整頓は,一般に対象となる物体(道具) やそれらを仕舞う場所が多岐に渡るため,タスクの定型化が困難であり,その自動化は未だ実現していない.そこで本課題では,整頓を物体の認識と搬送という二つのサブタスクに分け,それらをロボットと人間とで分担して行う協調型のシステムの構築を目指す.提案システムの実現により,整頓作業の効率化や習慣化を図ることが期待でき,快適な環境の実現につながる.本研究の具体的な実施事項は,追加学習可能な物体識別モデルの構築,搬送の動機付けにつながるインタラクションの解明,整頓システムの開発の3つである. このうち当該年度は,申請者らがこれまでに提案してきたロボットの物体識別モデルを改良し,追加学習を実現する上で必須となる,高速な学習を実現できるアルゴリズムを提案し,シミュレーション実験を通じて,その効果を検証した.また,識別対象となる物体の分類ラベルが未知な場合においても,学習が可能な自己組織化モデルの構築も行った.さらに,実ロボットと人間とのインタラクション実験も実施し,ロボットによる整頓の促しが,ヒューマンエラーの低減につながることを確認した.これらの成果について,国内学会および国際会議での発表を実施した.
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