研究課題/領域番号 |
15K00364
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
藤田 豊己 東北工業大学, 工学部, 教授 (90293141)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Scanpath / ロボット注視機能 / 関心領域 |
研究実績の概要 |
ロボットは複数台で協調して作業を遂行していくことが望ましい.そのためには,ロボットは,相手を観察して暗黙的に相手の行動や意図を理解する必要がある.そこで,効率的な情報獲得のために,人間が有するような視覚的注視機能の実現を目指す.そして,この注視機能より注視パターンを獲得し,それらの時間的変化から動作要素を抽出して動作認識を実現することを目指す.
この注視機能の実装と評価のために,心理物理実験により人間の注視領域を計測し,その特性を検証することが必要となる.そのため,平成29年度は,前年度より継続して構築した視線計測実験システムを用いて本格的な人間の注視領域の計測実験を行った.具体的には対象物選択および対象物ハンドリング時のロボット動作映像を被験者が観察したときの視線計測実験を行い,注視領域を抽出した.そして動画像内での特徴領域(主にロボット,対象物など)と,時系列に変化する注視領域との相対的な位置的類似性を求めた.またそれらを時間帯に区切って各時間帯での傾向を調べた. その結果,観察開始時は全体の状況把握のために注視領域が分散するが,主に移動するロボットやハンドを追跡すること,その中で動作の予測と考えられる対象物への注視が行われること,時折関心が薄れたときに大きく注視領域が乱れること,などの特性を確認することができた. また,ロボットの注視機能を用いた対象物操作の自律的作業を検討した.具体的には対象物を把持持ち上げする動作を対象とし,対象物の面情報を検出し,そこから注視する面を抽出して作業を行う方法を考案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画より遅れが生じている理由として,構築した視線計測実験システムにトラブルが生じたことがある. 視覚刺激となるロボット動作映像の表示と,視線計測データの処理のソフトウェアに不具合が生じたため円滑な実験を行うことができなかった.そのため,注視領域の画面上の位置を獲得できるまでに時間を要した. また,申請者が様々な大学内業務に追われ,十分な研究時間を確保することができなかった.そのためトラブルへの対応も遅くなった.
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今後の研究の推進方策 |
視線計測システムを用いた計測実験をさらに進め,視線計測データから特性をより深く解析し,動作系列を抽出する.
また,画像特徴量を用いた特徴点検出に基づく注視モデルを構築し,モデルから生成された注視データと計測実験によるデータとを比較し,モデルの妥当性を評価する.そして実際の作業動作に適用することで有用性を検証する.さらに,関心領域からの動作認識モデルを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度で当初購入予定であった視線計測システムと同方式でより安価な装置が見つかったため,その製品を購入したこともあり,残額が生じていた. 昨年度は,視線データ計測システム整備のためのPC等や,研究内容検討,資料校正などのためのタブレット端末,研究発表用の旅費等で支出した. まだ残額が生じているが,研究を推進するための学生補助の経費や,研究発表旅費に充てたいと考えている.
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