研究課題/領域番号 |
15K00387
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
飛谷 謙介 関西学院大学, 理工学部, 講師 (50597333)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感性的質感 / 肌 / テクスチャ特徴量 / CG |
研究実績の概要 |
本研究では視触覚の相互作用を考慮した新しい感性的質感評価モデルを提案することを目的としており、目的の遂行のため以下の4つの研究課題を実施する。 1. 計測可能な触覚的物理特徴量の開発およびその妥当性の検討、2. 視覚・触覚的物理特性の要因分析による質感パラメータの抽出とCG表現、3. 個人特性も含めた感性的質感に関わる評価構造の解析、4. 感性的質感の素材デザインへのフィードバックによる実験的検証 この内、平成27年度は課題(1)および(2)の一部を行った。 1. 質感を想起させる物理的要因の一つである規則的な微細な凹凸(テクスチャ)における特徴量についての先行研究を調査した。調査結果を踏まえ、本研究課題に有効と思われる、凹凸を輝度値とした場合の画像特徴量として抽出する手法のいくつかを実装し、感性量との結びつきの強さという観点から精度比較を行った。その結果、各特徴量が表現可能な感性量が明らかになり、得られた知見から新規設計する触覚的物理特徴量の設計指針を策定した。さらに、(4)において必要となってくる、それらの特徴量から凹凸(テクスチャ)を生成する手法も開発した。 2. 本研究の対象素材である人間の肌におけるパラメトリックなCG表現手法を実装した。その際、素肌の物理特性に基づいた正確な質感表現を行えるよう、パラメータとして肌のメラニン量やヘモグロビン量といった色素や肌の水分量、また加齢による形状変化などを用いた。さらに、肌から受ける印象構造を明らかにし、使用した各パラメータとの関係性を定式化(要因分析)することで、肌の質感に寄与するパラメータを明らかにした。これにより、肌の物理特性から印象を自動的に推定することや,逆に所望の印象を具現化する物理量を特定することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の推進のための4つの課題の内、平成27年度中に遂行予定であった内容については概ね完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成27年度中に明らかになった知見から、感性量との結びつきが強い触覚的物理特徴量の設計を行う。設計した特徴量の妥当性を検討するとともに、本研究の対象素材である人間の肌における印象との関係性についてもモデル化を行う。さらに、構築したモデルにおいて個人特性を考慮し、最終的に化粧品設計に応用する道筋を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては、印象評価実験の際擬似的に触覚を提示するための触覚提示デバイスを購入予定であったが、実際にはテクスチャ処理が施されたサンプルを実験に使用したため今年度は購入する必要がなくなった。そのため、その分次年度使用額に計上した。 実験費・謝金に関しては、現状大規模な実験には着手できていないため、今年度は発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費に関しては、今年度明らかになった触覚的物理特徴量を表現可能な触覚提示デバイスを再度検討し、その購入費に充てる。 実験費・謝金に関しては、綿密な実験計画のもと実施予定である大規模実験に使用する予定である。
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