研究課題/領域番号 |
15K00396
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
真原 仁 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00589830)
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研究分担者 |
藤田 伸輔 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20268551)
雨宮 隆 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60344149)
櫻井 建成 千葉大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60353322)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ベータ細胞 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
前年度、β細胞のエイジングを考慮に入れた数理モデルを構築することの有用性を確認した。エイジングの効果は、個々の細胞ではなく細胞同士が結合した細胞集団の振る舞いに着目する必要があることがわかった。そこで、当該年度は、ひとまず細胞集団の振る舞いについて研究することとなった。 大域的に結合されたβ細胞集団の振る舞いについての議論を行い膜電位の振る舞いについて数値計算を行った。大域的な結合強度が増加してゆくと細胞集団が非同期状態から同期同状態へと変化していった。この過程において3つの細胞集団の状態が観測された。状態1:各細胞が全てバラバラで振動する非同期状態。状態2:細胞間で引き込みが起こり、細胞集団がいくつかのクラスターに分かれて、同期振動する状態。状態3:各細胞が完全に同期し細胞集団が一つの同期振動を行う状態である。さらに、状態2から状態3への遷移にあたり同期現象を起こすクラスターの数は指数関数的に現象してゆくことがわかった。 この研究成果を第26回非線形反応と協同現象研究会にてポスター発表した。 国際シンポジウムを産業技術総合県研究所(東京)にて他の研究者と共催した。申請者は、IIT Bombayから結合振動子系のシミュレーション及び実験のエキスパートであるP.Parmanada氏をInvited Speakerとして招き結合振動子系の化学実験についての講演を行った。さらに、申請者の所属する病院にて、病院の医師向け(共同研究者の藤田を含む)にも発表をしていただいた。ここでは、数理モデル作成の研究者と医師の研究者による見解の相違を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大域的な振る舞いの段階で数理的に興味深い現象が見つかったので、この現象をまとめるほうに研究がシフトした。 この結果をまとめ研究会にて発表している。 この研究により、エイジングの効果を入れる前段階であるが、β細胞とランゲルハンス島という階層の違った組織の振る舞いの関係を数理モデルとして確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最近、我々の研究成果と同様の結果を示す実験の論文が提出されている。この論文では、カルシウム濃度の同期の程度とインスリン分泌量との関係についても議論している。 そこで、我々のモデルにもインスリンの分泌量を示す変数を導入し、同期の程度とインスリン分泌量の関係について議論してゆく。実験の論文を参考にしながら、モデル式が妥当かどうかを検証してゆく。 さらに、この細胞集団のモデルにおいてエイジングの効果を入れることによる同期現象の変化やインスリン分泌量の変化について議論してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
すでにある手持ちの計算機により、数理モデルの数値シミュレーションを行った。このため、計算機の購入を先延ばしした。また、海外の研究者を招聘した際に、交通費が想定していた金額よりも低かった。
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次年度使用額の使用計画 |
これまで行っていた数理モデルの数値シミュレーションをさらに発展させる。このためのに必要な計算を行うための計算機を購入する。また、共同研究者の櫻井氏の移動に伴い、議論のために招聘を行う必要が生じた。そこで、議論のために共同研究者の招聘を行う。
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