研究課題
本年度は、次世代シークエンサーから得られたシークエンスリードに含まれるTCR α鎖およびβ鎖由来配列を、既存データベースに登録されたT細胞受容体(TCR)遺伝子リファレンス配列群に基づき精密決定するためのデータ解析基盤の開発整備を進めた。具体的には申請者がこれまで開発してきたTCRレパトア多様性解析法の改良を進めるとともに高速化を行った。主な解析プロセスは(1)シークエンスリードのリファレンス配列へのアライメント、(2)アライメント結果に基づく、リード中に含まれるV-(D)-J-C配列に対するセグメント分割、既知配列ID同定およびランダムに付加される配列群(Nセグメント)の決定からなる。それぞれのプロセスにおいてパラメータおよびアルゴリズムの最適化を図った。また特に上記(2)のプロセスを精査することによりボトルネックとなっている処理部分を同定し、当該部分へ並列化を施すことにより約10倍の高速化を達成した。また更に解析プログラムへ拡充・改良を施すことにより、マウス由来のTCR配列データも解析できるようにした。結果、当初の計画に沿ってTCRレパトア精密決定のためのデータ解析基盤の開発が進みつつあり、予定していたマウス由来データの解析も可能となった。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画に沿ってTCRレパトア精密決定のためのデータ解析基盤の開発が進みつつあり、予定していたマウス由来データの解析も可能となったため。
今後TCRシークエンスデータが多数サンプルから大量に得られることにより、既存のリファレンスデータベースには含まれないTCR遺伝子のExon配列が得られる可能性が高い。免疫反応を正確に捉えるためには、それら新規配列に対しても適切に配列同定を行う必要がある。そこで次年度は、前年度までに開発してきた既存リファレンス配列に基づくTCRレパトアデータ解析基盤を元に、既存リファレンス配列に含まれない新規Exon配列の探索法の開発を進める。まず、既存リファレンス配列に対する小規模変異で表現されるような新規配列に対しては、これまでがん細胞の配列解析で培ってきた変異探索手法を援用して進める予定である。
当初思っていたよりもデスクトップコンピュータの性能が上がり購入費用がかからなかったため。
研究を進展させるため解析プログラム開発環境を拡充するソフトウェアの購入に当てる予定である。
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Oncology Letters
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.3892/ol.2016.4465
Inflammatory Bowel Diseases
Bone Marrow Transplantation
巻: 50 ページ: 1227-1234
10.1038/bmt.2015.133