複数箇所でリガンドを認識するような複雑な認識機能を有する生体分子機能を標的に創薬開発ができる手法の開発と応用を目的に,ヒト免疫不全ウィルス(HIV-1)表面の糖タンパク質に糖鎖を介して結合し,標的細胞への侵入を防ぐ一連の中和抗体を対象に計算化学の手法に基づいて研究を行った.中和抗体PGTの結合において重要な役割を担う糖鎖を特定し,糖鎖―糖鎖相互作用も抗体の結合に協同的に関与することや,PGT抗体間の糖鎖親和性の違いの要因を明らかにした.また,本研究で開発した生体内水分子を考慮したモデルによって,糖が関与する生体分子間相互作用を適切に再現できることを示した.
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