研究課題/領域番号 |
15K00407
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
内古閑 伸之 中央大学, 理工学部, 助教 (20397483)
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研究分担者 |
松崎 由理 東京工業大学, 情報生命博士教育院, 特任助教 (30572888)
大上 雅史 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (50743209)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体生命情報学 / タンパク質間相互作用 / プロファイル / 相互作用ネットワーク |
研究実績の概要 |
「相互作用プロファイルに基づいたドッキングツールの開発」においてはMEGADOCKのソースコードをもとに相互作用プロファイルを用いてRe-dockingを実行可能にするツール群を作成した。これまで、Re-dockingのステップとして、1)初回ドッキング、2)相互作用プロファイルを用いたクラスタ解析による相互作用部位の特定、3)再ドッキングを手動で行ってきたが、ここで作成したツールを用いることで以上のステップを一括して行うことが可能になった。またRe-dockingの結果、正解候補構造を得るためのクラスタ解析について考察することが容易になり、Re-dockingによるタンパク質間相互作用予測精度の向上に寄与することが可能となった。本テーマはCBI学会 および米国生物物理学会においてポスター発表を行った。 「相互作用ネットワーク解析による検証」について,細胞走化性に関するタンパク質群についてCheAを中心としたドッキングを実施した.また「相互作用の探索空間の解析」について,ドッキング探索空間の特徴を相互作用プロファイルを用いて解析を行った.ドッキングベンチマークデータセットにある3つのタンパク質(alpha-chymotripsin,actin,CDK2)について既知の相互作用タンパク質とそれ以外のタンパク質との相互作用表面の特徴をクラスタ解析によって、それぞれが異なるクラスタに分類されることを示し論文を出版した [Uchikoga et al. 2016 Biophysics and Physicobiology 13:105-115]。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「相互作用ネットワーク解析による検証」について、当初のハブタンパク質として大きな構造変化を伴うタンパク質としてダンベル型タンパク質予測ツールSOSUIdumbbellによって得られたタンパク質に着目する予定だったが、得られたタンパク質に対応する複数の異なる立体構造が得られなかったため、構造変化は大きくないが一般的に良く知られている複数種のタンパク質と相互作用する alpha-chymotropsin、actin、CDK2 の三つについて解析を行った。この解析によって既知の相互作用タンパク質とそれ以外のタンパク質との相互作用表面の特徴が異なることが示され、Biophysics and Physicobiology誌で出版された。これは「相互作用の探索空間の解析」とも関わっており、本研究課題全体の他の研究項目についても重要な成果となった。 「配列データベースへのインターフェース開発」については昨年度、MEGADOCK-WEBと呼ばれる統合ウェブインターフェースのプロトタイプを開発した。一方で当初予定していた既知の相互作用データベースの整備に関しても、ドッキングによって得られた相互作用部位に対応する部分配列を用いたPSI-BLASTを実行し、PSSMの利用を前提とした解析を開始した。 「相互作用プロファイルに基づいたドッキングツールの開発」はMEGADOCKのソースコードの変更をせず、各ステップをシームレスに行うためのツールを作成し、「相互作用の探索空間の解析」へつなげることが可能となった。「相互作用ネットワーク解析による検証」では、細胞走化性のネットワークに着目することで順調に計算が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
「配列データベースへのインターフェース開発」については配列データベースの整備および残基レベルの相互作用プロファイル情報と配列データベースの連携を高めるため,PSI-BLASTの実行およびデータベースアクセスが可能となるインターフェース開発を引き続き進める。 「相互作用プロファイルに基づいたドッキングツールの開発」は現在進行中のツール開発を継続し,予測精度向上へ向けた調整を視野に入れた改良をすすめる。 「相互作用ネットワーク解析による検証」では引き続き大規模なタンパク質間相互作用ネットワークを視野に解析手法の確立を含めて現在進行中の計算結果の解析を行っていく.「相互作用の探索空間の解析」に関連して、これまで少数のタンパク質ペアの例において解析を行ってきたが,網羅的な解析を視野にアミノ酸配列情報だけでなく様々な視点から相互作用をとらえて探索空間の解析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたRe-docking法の確立のためのドッキングシミュレーションおよび解析が計算機環境の変化のため計画通りに進まず、予定していた結果を保存するストレージを購入しなかったため。 また、予定していた国際学会(ISMB)の参加を開催時期の調整がうまくいかず見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
解析データを保存するためのストレージ(NAS)の購入、および、これまでの成果発表のための国際学会への参加を計画している。
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