研究課題/領域番号 |
15K00415
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研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
山本 昇志 東京都立産業技術高等専門学校, その他部局等, 教授 (70469576)
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研究分担者 |
津村 徳道 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (00272344)
原 直人 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30265699)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体計測 / 非接触・非侵襲 / 眼球運動 / 表情変化 / 自律神経 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ストレスの蓄積具合が顕著に現れる生理的な特徴量の確定である.ここで,本研究成果は日常生活で使用可能であることを前提と考え,非接触・非侵襲を制約条件としている.ストレスは自律神経系の働きに大きく影響を及ぼすため,まずは,特徴量として眼球運動や表情変化そして呼吸間隔などを評価の対象とする.続いて,本研究提案では上記特徴量の検出を顕在化させる手法を確立する.眼球の動きや表情,呼吸などの生理現象は日常行動でも活動を行っているが,特定の動作を誘導した場合,自律神経系の影響が顕著に現れる可能性を持つ.また,僅かな変化でも,時系列で捉えた経時変化は確実な変化を捉える可能性がある.それ故,特徴量抽出と顕在化を組み合わせることで,今まで困難であったストレスの蓄積具合を定量化する仕組みを確立する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は心拍と眼球運動に現れるストレス起因の変化に注力して研究を行った.心拍については非接触測定方法としてカメラ画像から心拍を抽出して心拍変動を捉える手法を検討した.約30秒間の測定映像から心拍を抽出することはできたが,心拍波形の検出能力が悪く,変動を正確に把握することは難しいことが判った.一方,眼球運動に対しては視線検出装置による非接触測定システムを構築し,脳の判断過程を考慮した反応時間差に着目して実験を行った.この結果,模擬的なストレスではあるが,心因的疲労が発生している場合,特定の条件で反応時間に差が生じることを明らかにした.条件としては,意識的な眼球動作(アンチサッカードタスク)とワーキングメモリを利用した判断タスクを組み合わせた場合が最も顕著であった.約10名の被験者でも確実にその変化が捉えられており,ストレス状態を把握する方法としては適していることを明らかにした
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今後の研究の推進方策 |
今年度は眼球運動に加えて,表情変化によるストレス定量化にも挑戦する.昨年度の結果から眼球運動のみでもストレスの状態を捉えることはできたが,ストレス量を推し量るまでは至っていない.また,条件として設定したタスクは日常生活であまり行われない動作であるため,より自然な測定条件が必要となる.そのため,眼球運動と表情の喧嘩を組み合わせることにより,ストレス量の定量化を日常的な動作の中から探る手法を検討する.本検討は計画通りであり,研究を予定通り進めることができている.
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次年度使用額が生じた理由 |
表情の変化を通常の撮影から捉えることは困難が予想される.そこで高速度撮影もしくは高速な顔動作判定を行う装置が必要となる.これら装置は一般的に高額であり,H27年度はなるべく予算消化を抑え,H28年度に装置を購入する予定である.但し,両者を購入する予算は確保されていないため,H28年度前半で表情か顔動作のいずれがストレスとの関連性があるかを見極め,後期にいずれかの装置を購入することとする.
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次年度使用額の使用計画 |
高速度撮影装置:500~1000fps程度,解像度640×480画素以上,専用取り込み装置 高速動作記録装置:3次元空間での測定,精度2~3mm,現時点では磁気位置センサ方式
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