研究課題/領域番号 |
15K00416
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松田 充夫 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30370026)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | ソフトコンピューティング / フィルタバンク / 部分空間法 / SOM有意度 / 眼底画像 |
研究実績の概要 |
本研究は,部分空間法及び自己組織マップのソフトコンピューティング技術を用いた眼底欠陥部の検出と判定の手法により,低解像度の眼底画像から眼底疾患の高い識別性能を実現する特徴量フィルタを開発する目的を達成することである。本研究の眼底画像解析では,複数のスケールと方向性を持つフィルタバンクを用いることにより,解像度の異なる眼底画像の識別性能の解析を可能にした。眼底疾患の病変部の広がりの大きさや方向は一様ではない。そのために1枚の眼底画像から病理診断を単一のフィルタ処理で行うことは困難である。複数のスケールと方向性を持つフィルタバンクを用いた手法はその困難を解消できる。また識別解析に用いた部分空間法は,高い識別性能を保ちつつ識別法のパラメータ調整を容易にするので識別法として優れている。フィルタバンク処理画像の各セグメントから特徴量を得ると,一般に極めて高次元なデータとなる。本研究で用いた処理画像のエントロピー値は,低次元数ながら高い識別性能を有する。フィルタバンク処理画像の情報エントロピー値を用いた本研究では,識別性能を83.5~86.57%に向上させることが可能になり,訓練された人の識別率84.5%を超えている。しかしながら,どのようにフィルタリング効果を向上させているかは,各フィルタの識別性能の向上にどの程度寄与してかを定量的に把握しなければならない。SOM有意度を用いて性能評価をすることでフィルタバンクの識別性能への寄与度を測ることが可能である。一方,SOM有意度については,手法公表から間もないことから,その特性については,十分理論的に解明されておらず,SOM有意度が有効であることが説得できない。そこでSOM有意度の特性について解明・検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィルタバンク処理画像の情報エントロピーを用いた部分空間法による本研究は,識別性能を83.5~86.57%の向上させることが可能になり,訓練された人の識別率84.5%を超えた。眼底画像解析の最適特徴フィルタが開発できている。
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今後の研究の推進方策 |
どのフィルタが性能を向上させているかは,各フィルタの識別性能の向上にどの程度寄与してかを定量的に把握しなければならない。SOM有意度を用いて性能評価をすることでフィルタバンクの識別性能への寄与度を測ることが可能である。一方,SOM有意度については,手法公表から間もないことから,その特性については,十分理論的に解明されておらず,SOM有意度が有効であることが説得できない。そこでSOM有意度の特性について解明・検証した。本研究における最適特徴量と最適フィルタとの緑内障診療ガイドラインの視神経の質的判定と量的判定との相関性を明らかにするには,有意度の概念を使えば定性的に説明できるめどがついた。今後はSOM有意度の特性を明らかにしフィルタバンクに用いた眼底画像解析と緑内障診療ガイドラインの視神経の質的判定と量的判定との相関性について研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時から科研費決定の間に研究環境の大きな変化(山口県の高専を定年退職により勤務先が愛知県の高専に変わったため)があったことで研究環境を整備するのに時間を要したため,研究スケジュールは申請時に比べてやや遅延(半年程度)している。研究成果を論文投稿により公表することにしているが,専門誌への投稿には相当な時間と費用を要する。特に投稿から採択から論文公開まで最短でも数か月から1年を超すこともある。このため延長申請を行った。今後,既に採択決定をされている論文記載料(学術論文誌”知能と情報”の2018年4月号に記載される)と別刷り料の\102,276の支出とファジィ学会のシンポジウムや学会発表の旅費等を予定している。
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