研究課題
アストロサイトは様々な脳領域においてカルシウム依存性機構によって神経活動を修飾していると考えられているが、呼吸リズム生成機構の中核を担うpre-Botzinger complex (preBotC)のアストロサイトが呼吸リズム形成においてどのような役割をしているかは明らかではない。そこで、これまで検討してきたニューロンネットワークモデルとアストロサイト振動子のモデルを疎に結合させたニューロン‐アストロサイトネットワークのシミュレーションを行い、アストロサイトが呼吸リズム形成においてどのような役割をしているかを検討した。in vivo実験で、酸素濃度が7%以上の場合と、6%以下の場合の低酸素性呼吸増強の違いについて検討し、比較的高度の低酸素負荷時には、arundic acidは、痙攣、痙攣後呼吸抑制、無呼吸・呼吸停止の発現を予防する効果を示すことができた。in vitroの新生ラット摘出脳幹脊髄標本におけるカルシウムイメージング実験で、preBotC領域内の細胞については、ニューロンのみでなく、アストロサイトについても、C4呼吸神経出力と同期した活動を呈するものが認めることができた。また、preBotC領域内の一部のニューロンおよびアストロサイトは、C4呼吸神経出力とともに、低酸素負荷に対し、興奮性の応答を呈した。以上の所見より、脳幹内のアストロサイトは、ニューロンと協調しつつ呼吸リズム形成に関与しており、また、脳内低酸素センサーとして低酸素呼吸応答機構において重要な役割を果たしていると考えられることが分かった。
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