研究課題/領域番号 |
15K00432
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
島川 博光 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70351327)
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研究分担者 |
デイン.テイ.ドン フウオン 立命館大学, 情報理工学部, 助手 (90712117)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NMF / 行列 / ベクトル / naive Bayes / 姿勢 / 手際良さ / 作業品質 |
研究実績の概要 |
本研究では、ペルソナ・シナリオ法にもとづいて、消費者を少数のペルソナに分類する手法を研究した。そのために,特定ペルソナに属する消費者のWeb閲覧ベクトルを実験により求めた。消費者の閲覧ベクトルの集合である行列を、NMFを用い、各消費者に共通する基本ベクトルと、その重みに分解した。分解結果において、基本ベクトルは、複数の消費者に共通する特徴を表しており、ペルソナに相当する。消費者の閲覧ベクトルを多数集め、それらからなる行列を、基本ベクトルとその重みにNMFで分解してみた。その結果、NMFで算出したペルソナごとの基本ベクトルが,インタビュー結果と高い一致性を示していることが確認できた.一方で,新たな消費者のペルソナを,そのWeb閲覧履歴から算出できれば,この消費者に適切な農作物を推薦できることになる.新たな消費者のペルソナは、e-Farm閲覧時に取得した閲覧ベクトルと,NMFによって算出された基本ベクトルとの類似性で推定した。この結果を,新たな消費者にインタビューした結果と照らして,高い一致性が得られていることを確認した. さらに,消費者の興味がどのような対象にかたよるかを調べた.Naive Bayes手法を用いて,消費者がSNSに書き込んだメッセージを分析したところ,事前に話題にのぼった対象に興味が偏っていることが明らかになった.消費者の農作物への興味は一貫しているのではなく,事前期待に大きく影響されることがわかった. 今年度は,農家がe-Farmに作物収穫時の情報を公開するうえでの支援法についても研究した.農家が効率よく収穫作業を実施することで,疲労を少なくし,結果として作物を丁寧に扱うことができる.これにより質の高い農作物を消費者に提供できる.本研究では,農作業従事者の姿勢と手際良さに着目した収穫作業の質の高さを自動判定する手法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である,Web閲覧履歴から,e-shoppingサイトでの消費行動に関する消費者の分類に成功した.分類は,閲覧行動を数値的に表現した行列を,消費者の特性を表す行列と,その重みを表す行列の積で表現できることを示すことができた.前者は,消費者ペルソナの基本ベクトルの並びとして,後者は,基本ベクトルの重みを表すべクトルの並びとして表現できるので,あらたな消費者の特性も,基本ベクトルとの類似性で分類が可能となった.しかし,消費者の特性は一定ではないということも明らかになった.これは,Web上に作られたe-Farmに,魅力的な情報を提示することによって,農家はあらたな顧客を獲得できることを示している.そして,その顧客の獲得には,顧客の事前期待をふくらませることが有効であることもわかった.
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今後の研究の推進方策 |
農家はあらたな顧客を獲得するうえでは,顧客の事前期待を高めることが有効である.これらをWebではなく,個別の販売時に実践している団体や企業にインタビューすることができた.この団体は,生産上の哲学を示すような情報を開示することで,顧客獲得を成功させている.また,件の企業は,異なる農家の産物を組み合わせるレシピを消費者に紹介することで顧客獲得に成功していた.最終年度においては,単に生産過程を説明するe-Farmではなくて,消費者に期待をもたせるような農家のアピールポイント,複数の農家からの農作物を組み合わせて消費者が楽しむ方法を掲示する手法についても研究する必要性があることがわかった.
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次年度使用額が生じた理由 |
少額のため,不必要なものを購入するよりも,次年度予算とあわせて必要なものを購入するため
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次年度使用額の使用計画 |
プリンタのトナーなど,消耗品に使うことを考えている.
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