研究課題/領域番号 |
15K00433
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
佐藤 浩 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (30295737)
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研究分担者 |
岩永 佐織 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), その他部局等, 教授 (00559239)
久保 正男 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (30292048)
白川 智弘 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 助教 (60582905)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 複雑ネットワーク / 産業連関表 / 感染モデル / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、全貌が分からない複雑なネットワークにおける未知のつながりを推定することで、ネットワークの構造を明らかにする手法の開発を目的としている。これが実現されれば、大規模ネットワークにおける脆弱性の分析や、既存のシステムをより効率的なネットワーク構造へ変形できるなど、多くの成果が期待できる。 研究初年度は、まず対象とするネットワークの選定とその性質の分析を行った。具体的なネットワークとして、経済分野における産業連関表を取り上げることとした。産業連関表とは、産業ごとの生産や販売といった取引額を行列形式にまとめた統計表である。産業連関表の利用の歴史は古く、経済波及効果の分析や各種経済指標のための基礎資料として使われてきた。 本研究では、この行列を産業分野間をつなぐネットワークとして捉え、複雑ネットワークのアプローチによりネットワークの構造が持つ特性を明らかにすることとする。具体的な対象として、日本国内の産業連関表と世界全体の産業連関表の2つを対象として選定した。各々の連関表の特徴として、日本国内に関しては比較的正確な情報が分かっているが、世界全体の産業連関表については、不確定な部分が多いということがある。これは、国により統計の取り方が異なるという点や、情報公開の範囲が異なるということが原因であり、不明な部分は「Rest of the world」という項目でひとまとめにされている。最終的にはこの部分の国別、地域別の内訳を推定することを考えている。 今年度は、比較的情報の揃っている、国内の産業連関表についての分析を行った。伝染病の感染モデルを連関表から作られる産業ネットワークに適用することで、日本における特徴的な産業セクターを発見することができた。これらを基礎的な知見として、次年度以降は世界全体の産業連関表の分析および推定にあたる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
具体的なネットワークを選定し、その分析を行う点までは達成できたが、その背後にあるモデル化については課題が残った。これは、データの入手や解釈に時間がかかったためである。特に連関表からのネットワーク生成については、いくつかのバリエーションが考えられるため、妥当な使用方法についての議論や検討が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はモデルの作成および精緻化を行う。特に、ネットワークの未知な構造を推定するために用いる手法の検討は重要である。
また、その他に、得られた結果の検証方法の検討が重要課題となる。本研究では、産業連関表から作成された産業間ネットワークを対象としているが、未知の部分を推定されたネットワークに関しては、それとは異なるデータによる検証が必要であり、このための指標として、各種経済的、政治的な指標などの選定を急ぐ必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルや本年度得られた結果の検証のために、別のデータの購入が必要であるため。また、今年度で得られた成果発表のための旅費などにあてるため。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)インターネット上での行動データの購入に充てる。(2)実空間での人口動態データの購入費用に充てる。(3)成果発表のための参加費、旅費、論文掲載費などに充てる。
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