研究課題/領域番号 |
15K00438
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 武志 広島大学, 病院(歯), 助教 (40325197)
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研究分担者 |
木内 良明 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (40214738)
氏間 和仁 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (80432821)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Webアクセシビリティ / 視覚障がい者 / 医療機関Webページ |
研究実績の概要 |
医療機関標準Webpage仕様において、現状を踏まえてJISのどの等級までアクセシビリティを保証すべきかについて検証を行った。医療機関標準Webpage全国の国公私立の大学病院(分院含む)117施設、および広島県の公的病院(日赤、済生会含む)30施設のWebサイトのトップページを調査対象とし、miChecker (Ver. 2.0)を用いて、Webアクセシビリティの評価を行ったところ、多くの病院がJISを殆ど満たしていないか、または等級AAを大凡満たすものの2つの群に分かれる傾向があった。特に、音声読み上げソフトへの対応の評価はほぼWebページ上の情報の知覚可能性に依存する傾向がうかがえた。知覚可能性の問題の多くは技術的な問題よりは作り手が加えるべき情報が正しく記載されていない事によるものであり、昨年度行った医療機関向けアンケート調査から、医療機関側のこの問題に対する意識が低いこと、および7割以上の施設がWebページの制作を外注していることを併せて考えると、Webアクセシビリティに対する専門知識が無くてもmiCheckerが指摘するWebアクセシビリティの問題を解決することを仕様に盛り込めば、JISの等級AAをほぼ満たすWebアクセシビリティを実現することが現在の平均的なWeb制作の技術力で充分可能になることを明らかにした。 また関連分野として、IT機器を用いた際の文字の見え方、視覚障がい者の自立を促すIT機器の利用法の研究、および我が国で我が国における失明原因第1位の緑内障の危険因子の探索についての研究を併せて遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初視覚障がい者を主たる対象として操作方法と医療機関Webページに対する需要の調査を行う予定であったが、研究発表に対する意見として、視覚障がい者のみならず、晴眼者についても見やすく、判り易くする配慮が必要であるとの意見があったため、調査対象としての晴眼者の重要性が大きくなったため、実験環境におけるWebアクセシビリティを、実際の利用を想定して、どこまで保証するかについて時間をかけて検討した。 視覚障がい者当事者の当事者に対するアンケート方法は実験環境に依存するため、実験環境の整備に当初予定していたよりも時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で本研究は本学の倫理審査委員会を通過予定である。また、研究対象者を募集する当事者団体との下打ち合わせも既に行っている。 正式に倫理審査委員会の決定が出た後、9月まで、視覚障がい者当事者(ITスキル髙/低、各50名ずつ)および晴眼者(50名)による、医療機関標準Webページ仕様に基づく実験用Webページの操作実験(およびアンケートの実施)を行う。内、若干名に対しては操作端末の画面と音声を記録し、どのように操作を行っているのかを記録する。 それによって標準Webページ仕様の効果と問題点を探ると共に、および医療機関Webページの機能および掲載される情報の必要度を調べ、機能および情報の提示順序を定める。 年度の後半は、結果の分析とその発表、および標準発注仕様書案の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
視覚障がい者当事者を対象としたWebページ操作実験およびアンケート調査の詳細を決めるのに時間がかかり、倫理委員会への審査依頼書類の提出が遅れたため、研究協力者への謝金および謝礼の費用およそ18万円の執行が延期になったため。 また、上記の遅延に伴い、予定していた成果発表が遅れ、その為の旅費およそ17万円の執行が出来なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
アンケート謝礼12万5千円(視覚障がい者当事者100名×1,000円=10万円、対照群である晴眼者50名×500円=2万5千円)およびWebページ操作試験謝金5万5千円(視覚障がい者当事者2名×2万円、晴眼者1名×1万5千円)を10月末までに執行予定。 旅費17万円は国際学会への発表・参加費用として今年度中に執行予定。
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