研究実績の概要 |
アンティー クステレオ画像は主に 19 世紀後期から 20 世紀初期にかけて多く撮影されたステレオ画像であり, ヨーロッパの街並みや文化, 明治時代の日本の生活, 第一次世界大戦などの戦時中の様子, 自然風景 などが撮影されている. 本研究では, ア ンティークステレオ画像を種類によって分類してアーカイブ・資料の閲覧を行うことを支援するた めの基盤技術の開発を行った. 現存するアンティークステレオ画像の多くは経年劣化により紙面が歪んでいるため,歪んだ紙面の写真を撮影し,計算機内でを補正してアーカイブするシステムを開発した.このとき,紙面を自動的に小領域に分割し,射影変換を行うことで仮想的に歪んでいないステレオ画像を生成した.さらに, アーカイブしたアンティークステレオ画像を活用するために, 提示と認識について検討を 行った. 提示システムでは, GoogleCardboard とスマートフォンを用いることで, 擬似的な VR に よる提示システムを実装した. また, アンティーク写真には属性のわからない場合もあるため, アン ティークステレオ写真の認識手法についても検討した.紙面歪みを補正してアーカイブしたステレオ写真を定時システムでユーザに提示した結果,歪み補正を行わない場合に比較し,画像の端まで自然に立体視が行えることを確認した.認識については,領域ごとの認識や画像全体を学習する認識の方法などを検討したが,学習に用いることのできる画像枚数が少ないため,十分な精度は得られなかった.アーカイブされた画像を有効に活用するための認識手法の開発は今後の課題である.
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