研究課題/領域番号 |
15K00458
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
真栄城 哲也 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (30361356)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 記述モデル / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,糖尿病に関する知識とデータを包括的に記述し,分子レベルの現象と深く関係する知識と,身体を全体として捉える知識を統合すること,そして,これらの異なる視点の知識の関係性を定量的に解析し,視点間の相違点や接点の定量的な計測および評価方法を確立すること,である.さらには,異なる視点に基づく知識体系を統合する方法の確立も目的とする.これまでに続き,(1) 糖尿病に関する治療方法,症状および診断方法,現時点で疾病に関係すると考えられている遺伝子についての知識およびデータの収集と,(2) 身体全体の視点から捉えた糖尿病の症状への影響についての知識およびデータの収集,を継続的に実施した.これらの記述に用いる表現モデルは,複数の観点に基づく記述を統合し,かつ新たな視点によって対象を捉えるための基盤となる.複数の視点は,遺伝子や分子レベルの現象を中心に捉える記述と,身体全体の記述のように,記述対象に直結している視点以外に,モデルに組込まれている内容の組み合わせによって生じる,派生的な視点も存在する.実際に利用時には,後者の派生的な視点の方が有用であり,新規の視点を連鎖的に生成することもある.このような要求を満たすために,記述モデルの改良を行なった.特に,リゾームに類似した構造のモデルへの導入と,モデル全体の時系列解析の方法を構築することで,当初計画では予定しなかったsystem of systemsとして扱うことが可能となり,1つのシステム内の要素の変動がどのように他のシステムへ波及するかの解析方法が見出された.これは,要素単位での変動ではなく,任意の視点によって規定される要素群単位での影響の解析である.これによって,より自由度の高い異なる粒度および抽象レベルの表現と解析が可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに引き続き,糖尿病に関する治療方法,症状および診断方法,現時点で疾病に関係すると考えられている遺伝子についての知識およびデータの収集と,身体全体の視点から捉えた糖尿病の症状への影響についての知識およびデータの収集,を行った.また,これらのデータを提案したモデルを用いて記述した.さらには,要素の記述の積重ねによるボトムアップの記述と,全体的な記述から要素の記述へと進むトップダウンの記述の接点としての要素を見出し,その共通対象物を中心とした新たな視点に基づく記述を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病に関する治療方法,症状および診断方法,現時点で疾病に関係すると考えられている遺伝子についての知識およびデータの収集と,身体全体の視点から捉えた糖尿病の症状への影響についての知識およびデータの収集,を引き続き行う.また,これまでに考案した1つのシステム内の要素の変動がどのように他のシステムへ波及するかの解析方法を応用し,機能単位および視点単位でのシステム間の変動について方法の確立と解析を進める.同時に,西洋医学と東洋医学の記述であるボトムアップとトップダウンの記述の統合を引き続き実施し,これらの接点に基づく視点による表現の特性を解析する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画については予定どおり進捗し,生活習慣病の記述モデルを提案し知識基盤を構築してきた.その評価過程で,リゾームに類似した構造のモデルへの導入と,モデル全体の時系列解析の方法を構築することで,当初計画では予定しなかったsystem of systemsとして扱うことが可能となり,1つのシステム内の要素の変動がどのように他のシステムへ波及するかの解析方法が見出されたため,その検証が必要となった.また,西洋医学と東洋医学の記述であるボトムアップとトップダウンの記述の統合を実施し,これらの接点に基づく視点による表現の特性を解析することが必要になった.この検証のための解析の実施費および成果発表のための旅費の使用を計画している.
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