研究実績の概要 |
前年度に引き続き、前橋市教育委員会ならびにNPO青少年メディア研究協会と連携して、前橋市内のすべての小中学校の生徒(小学生は5・6年生、中学生は全学年、各学年から1クラス抽出)とその保護者を対象としたアンケート調査を実施した。調査期間は平成28年9月15日~9月30日、対象となった小学生は、5年生1,218人、6年生1,346人、中学1年生1,122人、中学2年生1,166人、中学3年生1,211人、保護者はいずれも生徒と同数である。キョウダイがいる場合でも、それぞれ回答をお願いした。 調査の目的は、小中学生のインターネット利用の実態を解明し、不適切な利用(とりわけ過度の長時間使用)傾向を探ることである。依存傾向の測定には、前回に引き続き、韓国で開発されたKスケールを用いたが、文言を訂正した箇所がある。 主な知見として、小学生の「子供用携帯電話」の所持率が増加していること、利用目的はLINEのような他者とのコミュニケーションと、ゲームや動画閲覧のような娯楽に大別されるがこれは昨年度と同様の傾向である。不適切な利用傾向を示している生徒の割合も、昨年度と同様の傾向であるが、とくに小学生男子の依存傾向が強く出ている(11.2%)ことが特徴的で、どのような要因が押し上げてるのか目下分析中である。 平成27年度調査の結果を、28年7月にウィーンで開催された世界社会学会議(ISA)社会学フォーラム、ならびに9月に札幌で開催された社会情報学会で報告する予定であったが、代表者の私的な事情(家族の入院)のために中止せざるを得なかった。29年度に改めて関連学会で報告することとしたい。 平成27年度調査の結果を論文にまとめたものは「小中学生のネット依存に関するリスク要因の探究 ― 群馬県前橋市調査より ― 」として平成29年3月に発表済である。
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