研究課題/領域番号 |
15K00461
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研究機関 | 文部科学省科学技術・学術政策研究所 |
研究代表者 |
梅川 通久 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第1調査研究グループ, 上席研究官 (80372548)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東南アジア大陸部 / 人口分布 / 人口移動 / 人材 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、大陸部東南アジア地域を対象として大局的な人の移動に関する新たなモデルを適用した研究と詳細地域における人の移動に関する分析を、地域の階層構造を意識して行うことで、総合的な分析の実施とその方法論的伸長を図ることを目標としている。従って本年度の研究においても具体的対象に関する成果の他、広域の分析に最適な手法である理論研究と詳細域を対象とする際に必要となる実践的研究の双方をいかにして連続的な分析体系として結びつけるかに関する、方法論的視点の議論もまた合わせて実施している。 特に本年度においては、プロジェクト全体で標榜する理論研究および実践的研究のうち、理論研究での進捗を図った。その際、対象地域における問題としての取り扱いから発展させ、一般化したモデルでの考察を行った。過去に行った論理研究の再確認の実施を行うと共に、理論モデルに関する詳細の検討を、昨年度および過去の関連する研究プロジェクトで得られた詳細域モデルについての調査等も含めた形で総合的に実施した。広域に対する理論研究のモデルとして、自己重力流体に関するポアッソン方程式を人口密度分布に適用したモデルを構築しているが、基本的な部分を再度考察し、これまでに実際のデータをもとにした数値計算を実施してきた結果を踏まえた分析を再度実施した上で、理論研究パート全体像を最終的に報告する為の論文を執筆中である。 また現在の所属研究機関の特色を生かす共同研究として、社会的な力による人の流れという大枠との関連性に着目した応用研究に参画した。内容は人材の動向、特に博士号を取得した人材が博士後期課程在学からその後のキャリアパスに関してどのような経路をたどるか調査研究を行うものであり、追跡調査が行えるシステムの開発についての共同研究および、キャリアの実例に関するインタビューを交えた調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度においては、研究代表者の所属が変わり、東南アジア研究が本務ではない機関の所属となった関係で、主として実践的研究の部分において遂行のエフォートが下がった。その結果大局的な水準における研究手法の考察に関連する研究計画を一部見直し、理論研究を中心として実施することおよび、現所属の本務として行われている研究の中で、本課題と関連のあるものについて知見を共有するなどの、研究交流をはじめとした活動を加えることとした。
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今後の研究の推進方策 |
現在の所属研究機関に在籍する期間については、東南アジア大陸部対象地域等へのフィールドワーク等の調査活動に関して、業務上の理由により、理論研究の前倒しでの実施、文化人類学等他の視点による東南アジア研究等との情報交換、現所属機関における研究課題との共通部分における共同研究や研究協力等へ研究エフォートの配分を若干シフトすることで、本研究の主目的を生かしつつ、現所属における実施可能な研究活動上の事柄および現所属における研究上の特色を取り入れた展開も視野に入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した可視化・計算用サーバのリプレイスによる購入が予定額に満たなかったこと、本年度から所属する研究機関における本務等との関係、およびフィールドワーク等の現地調査活動をはじめとする実践的研究のパートに関する調査実施計画の変更等の諸事情により、その為の経費の執行額が縮小していることが主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
所属研究機関のミッションと本研究のエフォート配分の兼ね合いにより、研究計画の内訳の実施を当初計画と比較して前後させることや、所属研究機関のミッションと本研究活動とで共同する部分での研究交流または比較研究等を、当初計画に追加する形で実施する。その際に必要となる旅費、参加費、出版費等への支出を予定している。また、情報の分析、データのバックアップ等に必要なデータストレージ等の置き換えや、短期間で可能である様に再構成されたフィールドワーク等にむけた研究補助機器等に関連する開発に資する端末および通信環境等の購入を行う。
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