本研究は,「沈黙の螺旋」=「閾値」モデルの数理的性質の検討と現実の事象データへ適用するための手法の開発を行うとともに,現実の事象データを対象に本モデルを用いた分析を行い,その有効性と限界を検証した。 また,今日の多様化したコミュニケーション環境における人々の全体状況の認知の把握を目的として,コンピュータ科学・機械学習分野で開発されてきた技法を応用し,①それぞれの言説が生成・流通する場・システムによって,各々の言説生成は大きな影響を受け,その結果,その生成・流通する場・システムの全体状況が決定されること,および,②人々のおかれた状況・文脈により,全体状況の認知に大きな違いが生じることを示した。
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