研究課題/領域番号 |
15K00465
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金 相美 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (10401241)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタルデバイド / 学歴 / 大学生 / 情報リテラシー |
研究実績の概要 |
(1)研究の目的:本研究は、情報格差による社会不平等問題の解決に向け、情報格差の緩和政策の方向性について実証研究と学術的理論展開によって提示できることを最終目的とする。今年度においては、定量調査、質問紙調査「国際比較研究による社会文化的要因の検討」を目標に、名古屋圏在住の大学生を母集団とし質問紙調査を行った。偏差値の異なる二つのグループに対し調査を行うことで、デジタルデバイドの社会文化的要因について検討することを目指す。昨年度行った定性調査、国内・海外の事例研究:国内・海外における「デジタル統合政策」を核心とした情報格差問題への取り組みに関する資料及び及び専門家インタビューを参考にしながら調査票を作成した。 (2)意義:本研究は、若年層の階層化を加速化につながる可能性の高い情報格差拡大メカニズムの考察及びその応用たる格差解決策の提示は、格差社会問題に取り組んでいる今日の日本社会において喫緊の要請である。メディア効果研究の裾野を拡大するのみならず、社会インフラとしてのインターネットの効力と活用策を提言するという意味において、本研究は学術的・社会的意義の双方を合わせ持つ取り組みと言える。 (3)重要性:標本は偏差値によって分類された二つのグループによって構成され、ジェンダー差、社会経済的要因などのデモグラフィック変数以外に、学力差との関係をも視野に入れたh分析が可能となった。学歴という変数は、メディア利用、情報リテラシー、情報欲求・メディア利用の動機付けなどにどのような影響を及ぼしうるのか、さらに、両者の交互作用によるデジタルデバイドの進行についても新たな仮説の分析を行い、情報格差の規定要因と社会的帰結及び社会文化的要因の関与に関するモデルの提示に挑む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しており、定量的質問紙調査を行い目標した標本を回収することができた。現在、質問紙調査の結果について分析を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今回の分析は「ケータイ族」のようにスマートメディアの活用能力や情報欲求・動機づけが低い集団に注目し、情報格差が生じる社会文化的要因を検討すると共に、それらを是正するための政策的方向性の提示を目指している。今後は、未就学児によるスマート機器利用に注目し、親のデモグラフィック変数との関連を視野に入れての分析を行い、デジタル・デバイドについて検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入予定であった量的分析のための分析ソフト、質問紙調査結果の入力費用が余っているが、次年度平成30年度において使用予定です。
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