研究課題/領域番号 |
15K00467
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 貴弘 京都大学, 大学文書館, 助教 (80462175)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 個人情報 / 情報公開 / 機密情報 / アメリカ合衆国 / イギリス |
研究実績の概要 |
文書館等のアーカイブズ施設において近現代の公文書や個人・団体の資料を閲覧に供する際は、資料中に個人情報や企業情報、治安・防衛等に関する情報(以下「秘密情報」と総称する)が含まれているかを点検し、場合によっては公開を一定期間制限する必要がある。この作業は複雑かつ多大な労力を要し、特に小規模施設における資料公開を著しく阻害している。 本研究では、諸外国のアーカイブズにおける秘密情報保護と公開促進の両立をめぐる歴史的経緯とその背景を検証するとともに、国内外の各種アーカイブズ施設の実地調査に基づき、近現代資料の受け入れから公開に至る方法論の適正化と標準化を図る。 本年度は、研究協力者の支援を受けながら、アーカイブズ公開システムにおいて先進的な米国、および近年この分野の改革が進む英国においてそれぞれ実地調査を実施した。米国での調査では、米国国立公文書館及び航空宇宙博物館で資料調査を行うとともに、米国アーキビスト協会年次大会に参加して本研究課題に関する資料・情報の収集を行った。英国での調査では、ベッドフォードシャー・ルートン文書館(自治体アーカイブズ)、ランベス宮殿図書館(宗教アーカイブズ)、イギリス国立公文書館(政府アーカイブズ)において、当該機関の資料公開と秘密情報保護の制度及び実態に関する聞き取り調査を行った。 その他、文献調査の結果に基づき、アメリカ連邦政府における秘密情報の利用制限をめぐる制度とその歴史的経緯に関する論考1本を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は米国及び英国の2カ国で調査を行い、当初予定していなかったアーカイブズ機関も含めて実地調査を行うことができた。一方、日程及び経費の都合上、日本国内における調査は実施するに至らず、今後の課題として残された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査及び研究協力者との相談の結果、本研究のテーマに関連して重要度の高いアーカイブズ機関があることが判明したので、可能な限りそれらの機関についても調査を実施したい。あわせて、日本国内の文書館等を対象とした調査も進めていく。
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