本年度は、一部の資金を前年度から延長し、前年度までに訪問取材・資料収集のできなかった地域への取材・資料収集を行った。 具体的には、北海道の初山別村と、福島県の檜枝岐村に取材し、両自治体の特徴的な地域情報化政策についてヒアリング調査を行った。初山別村は地形上の理由からブロードバンド整備が困難な条件不利地域で、NTTの基地局から離れた集落ではADSLの減衰が激しかった。初山別村は高速無線LANを導入してデジタルデバイドの解消を図り、また、生活支援システム導入事業では、携帯電話を所有しない家庭に対してその基本料金の一部を村が負担するなど、大胆な政策を行った。小中学校には教育の情報化としてiPadを導入している。檜枝岐村は、集落に人口が集中していてその点では初山別村よりもブロードバンド整備がしやすい地理的条件だが、村自体が、他の自治体から離れた山奥に立地している。NTT東日本と連携し、世帯の補助金を出すことでフレッツへの加入を促進、パソコン購入への補助なども行っていたが、さらに、2012年3月には村の全世帯に「ひかりフレッツフォン」の端末を設置し、村役場から各住民の情報提供を行う「光みんなの回覧板」をスタート、東邦銀行が「テレビ電話を使った金融相談サービス」を行ったり、遠隔地の医師と医療相談ができる遠隔医療システム「地域健康支援ネットワーク」も開始した。また、村内の約30か所には、NTTPCの「セキュアカメラ」を設置し、防犯対策の一環とした。 そのほか、これまでに行った中国山地地方の地域情報化政策を論文にまとめ、2019年3月締切の紀要に『中国山地地方における地域情報化政策』として投稿した。
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