平成30年度に明らかとなったことは以下の通りである. (1)実際の観光地とSNSへの投稿との関連について調べるため,写真投稿型SNSとして広がり,利用者が増えているInstagramの投稿が,石川県金沢市の観光地に関してどの程度行われているのかを調査した.そして,曜日や気候の影響,観光スポット間の投稿数の相関,投稿数と訪問者数との関係について分析を行った.その結果,得られた知見を以下に示す. ①休日は平日の2.3倍の投稿がある.②文化的な観光資源に対する投稿は降雨の影響を受けにくい.③観光スポット間の距離は投稿数に影響を与えない.④訪問者が多くなるほど,投稿数は多くなるが,観光スポットによってその割合は大きく異なる.金沢城公園では訪問者の0.9%,兼六園では2.1%,金沢21世紀美術館では2.6%が投稿している.如何に映える写真が撮影できたかが,投稿に与える影響が大きいと考えられる. (2)石川県金沢市を訪れた外国人を対象に観光旅行中にSNS投稿した内容についてアンケート調査を実施した.その結果,以下の3点が明らかとなった. ①外国人は日本人より幅広い内容を発信している.SNSへの投稿内容を19種類から複数回答で選択した割合の合計は,日本人の219.4%に対し外国人は511.7%でであった.②外国人の投稿の傾向として,概ね3つのグループ,すなわち「見る観光資源」「旅行を通して体験したこと」「人」に分かれた.③アジアは「ホテル・旅館」「温泉」「料理・食事」,オーストラリアは「同行者」「ハプニング・アクシデント」「街並み」が,その他の地域に比べ投稿割合が高い傾向にあった.ヨーロッパと北米は似た傾向である一方で,外国人全体と比べ大きな特徴はなかった.
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