研究課題/領域番号 |
15K00482
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
獅々堀 正幹 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (50274262)
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研究分担者 |
光原 弘幸 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (90363134)
大野 将樹 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (90433739)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 / 画像処理 / 衛生 |
研究実績の概要 |
本研究では,専門的なアドバイザーがいなくても正しい手洗い方法の学習が効率的に行える支援システムの開発を目的としている.本研究では,正しい手の洗い方を6パターンに分類し,手洗いの様子を撮影した映像を解析することで,すべての洗浄パターンが適切に,かつ十分な時間で実行されているかを検証し,学習者に対して適切なアドバイスを行える支援システムを開発する.学習者は実環境にて撮影した手洗い映像をシステムに転送するだけで,無意識に洗い残すケースを格段に少なくすることができるだけでなく,あたかも専門家に指導を受けたかのような正しい手洗い方法を身に付けることができ,インフルエンザや食中毒等の重篤な病気の予防にも繋がる. 平成27年度はシステムの実用性を高めるために,個人差による手洗い動作の揺れを許容した映像特徴量検出システムを中心に開発した.また,様々な学習モデル機構について評価実験を行い,本システムに適した学習モデルの構築法を明らかにした.開発済みの個人向けプロトタイプでは,肌色領域の変化やオプティカルフローを映像特徴量として用いている.しかしながら,手の動かし方の角度や上下左右のぶれ等に個人差があるため,学習モデルとは異なる被験者では精度が大きく低下していた.そこで,手の重心の動き(ぶれ)に着目し,個人特有のぶれを従来の映像特徴量から間引くことで,個人差による揺れを許容した実用性の高いシステムに改良した. 平成27年度に開発したシステムについて,下記の内容の評価実験及び考察を行った.1.多数の被験者に対する実験から,個人差による精度低下がどの程度防げているかを洗浄パターン毎に評価.2.各種の学習モデルについて精度評価を行い,手洗い動作の判定に適する学習モデルについての評価.3.学習データ数や映像時間長を変化させ,学習データと精度の関係についての評価.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のコアになる基礎エンジンの開発は,当初の計画通りに終了したため.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までに開発したシステムでは,リアルタイム性を重視し,映像特徴量として肌色領域分布やオプティカルフローの時間的変化を用いている.肌色領域に着目した場合,手洗いの際に使用する石鹸や洗剤等による泡(ノイズ)が精度に支障をきたすことが予想される. 平成28年度以降は,この問題点に対処するために,本研究では学習モデルと入力特徴量との類似度を計算する距離尺度に,ノイズに頑健なEarth Mover's Distance(EMD)を採用する計画である.EMDは内容型類似画像検索技術や類似音楽検索技術などで頑健さが証明されている距離尺度であり,近年,ハンドジェスチャー認識分野でも認識精度の向上が報告されている. また,入力インターフェイスとして,学習者が実環境にて作成した作品を携帯端末で撮影し,映像データを手軽にサーバーに転送できるインターフェイスを開発する.修正すべき箇所を分かり易くユーザの携帯端末に転送できる出力インターフェイスを備えたシステムを開発する.更に,各モジュールを統合し,手洗い学習支援システムのプロトタイプ版の実験評価を行った後,大規模システムへの改良及び実験評価を行う.手洗い学習支援システムのプロトタイプ版を大規模データにも適用できるよう,サーバークライアントシステムに拡張する.
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次年度使用額が生じた理由 |
システム構築に使用するパソコン,サーバー類が当初の見積もり額よりも低価格にて購入できたため.
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次年度使用額の使用計画 |
若干の繰越金が生じたが,次年度以降実施予定の大規模データに対する記録メディアの購入(物品費)に割り当てる予定である.
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