研究課題/領域番号 |
15K00485
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
三浦 元喜 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334053)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オンライン筆記 / 手書き筆記 / 筆記の分類 / 筆記再生インタフェース / 多人数学習者筆記 |
研究実績の概要 |
【オンライン手書き筆記分析ツールの改良整備】オンライン筆記の分析の円滑化をはかるため,これまで申請者が開発してきた筆記閲覧・再生システムSimpleATNを改良し,個別の筆記に対して複数のタグ付けを行えるようにした. 【Support Vector Classification による削除筆記の自動分類】上記のシステムでタグ付けを行った筆記を利用して,SVM分類器を利用した筆記の自動分類について検討した.今回はとくに削除筆記に着目した.削除筆記は,学習者自らが筆記中に間違いに気づいて修正を加えた部分であり,教師が学習者の状況を理解したり,時系列筆記データの意味付けを行ったりするうえで有効と考えたからである.横二重線やバツ印,塗りつぶすような筆記を削除筆記と定義し,これを抽出する特徴量として,距離,サイズ,ストロークの複雑さ,交差の数,直前と直後の筆記との類似度を選択した.実験の結果,最大で8割の削除操作筆記を正しく検出でき,84%の削除対象筆記を正しく検出できることがわかった. 【短時間視認システムの最適表示インタフェース検討】教師が多人数学習者の筆記を同時に再生閲覧して確認する際の,視認性を高めるためのインタフェースとして,表示倍率を固定したConstantZoomと,筆記内容や筆記の大きさによってズーム率を変化させるVariableZoom の2種類について,比較評価実験を行った.VariableZoomのほうが文章と図を含むようなノート筆記において,それぞれの視認性を高めることが期待されたが,被験者はConstantZoomの視認性が比較的高いと評価した.ズーム率変更時の画面変化が激しかったことも視認性低下の原因とかんがえられるため,今後改良を行ったうえで,再実験を計画している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン手書き筆記分析ツールの改良整備と,それを利用した筆記の自動判別・分類という一連の流れによって,教師が学習者のオンライン筆記を活用できるようにするための基盤は構築できた. ただし,筆記の再生表示から人間が抽出可能な,学習者の思考状態および思考プロセスの種類を取得することについては,対象となる授業や講義の内容,学習者の活動に依存する.そのため,網羅的に挙げるのではなく,取得可能な情報から段階的に進めていくことが現実的と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
ディープラーニングをはじめとする先進的なデータマイニング・機械学習の技術を取り入れて,筆記データへの自動的な意味付けの可能性を探っていく.また,教師が視認する際のインタフェースについても引き続き検討と改良を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
情報処理学会論文誌ジャーナル掲載料Vol.57 No.4 136,620円の請求が新年度(28年4月)になることがあらかじめわかっていたため,繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
情報処理学会論文誌ジャーナル掲載料Vol.57 No.4 136,620円 2016年4月に支払い
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