【手書き筆記に基づく、学習者の状況把握】前年度に検討した、筆記の時間差(筆記と筆記のあいだの時間間隔)に基づいて「学習者の弱点」を検出する手法について、認識精度の改良を行った。具体的には、既存の時間閾値に対して、筆記の時間差の標準偏差で正規化したうえで、期待する節約時間を乗じた、新しい時間閾値を定義した。これにより、各学習者における極端な時間閾値が自動設定されることを防ぐことができるため、結果として弱点の認識率を高めることが可能になることがわかった。 【教員や他の学習者への、学習プロセスのリアルタイムフィードバック】学習プロセスを、教員や他の学習者に効果的に伝達したり、フィードバックするため、手書きによる式や文字の「一行」のまとまりを検出する方法を検討した。文字の大きさと、動きの激しさに関する主観評価実験を行い、アンケート結果をU検定で検定したところ、有意な差は得られなかった。しかし、行のまとまりを検出して表示する手法を適用した場合、式の読みやすさを高めた状態で提示できることから、数式としての理解しやすさが高まることが確認できた。 【実環境におけるシステム運用と検証】 リアルタイム性の高いストリーミング対応ディジタルペンについて、十分な本数を準備できなかったため、遠隔講義を対象としたシステム運用は、以前購入したディジタルペンによる試験的な運用にとどまった。今後、リアルタイム性の高いディジタルペンの整備をすすめる。
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