研究課題/領域番号 |
15K00489
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
松本 章代 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (40413752)
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研究分担者 |
佐伯 啓 東北学院大学, 教養学部, 教授 (20221260)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知的学習支援システム / 語学教育 / スマートフォン / 音声配信 / 動画配信 / ビデオ通話 / モバイル / 携帯電話 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「スマートフォン・携帯電話を用いて外国語による会話を練習させるシステム」を構築し,実際に運用して教育効果の検証を行うことである。本システムは,指定日時に学習者の携帯電話(スマートフォンを含む)に電話をかけ,教員があらかじめ用意した音声データを自動再生する。実際の会話を想定して音声データには無音の返答時間(ポーズ)が含まれているものを使用することにより,会話力を養う。学習者の発話を録音する機能,通話の際に音声と同時にトランスクリプト(音声データを文字に起こしたテキストを)をSMSで配信する機能,電話に出られなかったときには学習者が再配信を依頼できる機能などを備える。 二年目である本年度は,Googleハングアウトを用いてビデオ通話(映像による配信)を可能にした。 また,学習者の発話データの分析に取り組んだ。まず,東北学院大学教養学部言語文化学科の2年生の第二外国語でドイツ語を選択している履修者全員(19名)を対象に,4週間にわたって毎日1回電話をかけ,約10個の質問に答えてもらう運用実験を行い,学習者の発話を録音した。そして,問いかけ終了直後から学習者の返答が開始するまでの時間(レスポンスタイム)の計測や音声認識などの解析をおこなった。その結果,4週間の運用をとおして学習者の多くが,レスポンスタイムが短縮すること,発話語数が増えることを確認した。また,発話語数と学習者の会話能力には相関関係が認められた。 今後は,録音データの解析をさらに進め,文法レベルで学習者の発話力を判断し,各学習者の発話能力に応じた音声・動画データが自動で選択配信されるような知的な学習支援システムを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と比較すると,機械学習用の評価データ作成が遅れているが,動画配信の実装や品詞解析処理の導入など予定以上に進展している部分もあり,トータルでみるとおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは,進捗が遅れている機械学習による学習者の発話能力の判定に取り組む。 また,当初の予定にはなかったが,LINE等を用いた動画配信についても運用を行い成果を上げることを目指す。 あとは当初の計画どおりに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価データの作成が当初の予定より遅れているため,その分の人件費・謝金が余ってしまった。しかし現在すでに作成の依頼は済んでおり,次年度に使用する見通しは立っている。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費は,主にサーバの周辺機器の購入や技術資料の購入に充てる。旅費は,他の大学や企業で行われている語学教育の実態調査,語学教育や知的学習支援システムに携わる他の研究者らとの意見交換,現地での音声・映像素材収集,研究成果の発表を行うために必要である。 人件費・謝金は,音声・動画データの作成および学習者の発話データに対する評価への報酬として支払うために必要である。また,その他の費目として,開発(テスト)および運用の際に必要となる通信費(電話料金)と音声認識サービス利用料を計上する。
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