研究課題/領域番号 |
15K00492
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
東本 崇仁 東京工芸大学, 工学部, 助教 (10508435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知的学習支援システム / コンセプトマップ / 視点 / 構造構築学習 / 認知心理学 |
研究実績の概要 |
当初の計画通りのシステムを開発した.先行研究における階層構造構築学習支援システムを,多角的な視点(特に5W1Hの観点)における階層構造構築学習支援システムに改良するための要件定義,機能設計を行い,実際にシステムを開発した.具体的には,階層構造の構築について5W1Hの観点タブを用意し,タブを切り替えながら属性を選択,階層構造を構築できるインタフェイスの開発した.さらに,本システムでは「観点に対応していない属性の選択の誤り」と「不適切な抽象化(過度な抽象化)」の2点についての誤りを診断し,それに対するフィードバック機能を実装した. 本研究では,複数論文を読み,それらの関係性を5W1Hの観点でまとめるように設定し,実際に大学の学生相手に評価を行った.本実験により,下記のことが判明した.本システムの診断機能およびフィードバック機能は有効に働いていることが,学生のシステム利用ログより明らかになった.さらに,学習効果についてもシステムの利用の前後で効果が確認できた.ただし,紙面上での学習を行わせた統制群との比較実験では,成績の向上について有意な差が得られなかった.これは,紙面で正解をあらかじめ与えるだけでも,卒研を終えた4年生であれば学習を行えたことを意味する.ただし,システムでは正解を与えておらず,最終的に正解までいきついていない学生も存在したが,正解をすべて提示した統制群と同じ効果を得られたことは一定の成果であると考える.今後は,正解を与えるだけで成績の向上が期待できない領域において本システムの利用による効果を調査する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したシステムの操作が複雑であったため,当初予定していた小中学校での実践は行えていないが,それ以外はおおむね当初の予定通りに進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に開発したシステムではあらかじめ観点を与えた上で,属性を適切な観点に分類し,階層構造を構築させるタスクを提示した.平成28年度は,観点を提示しない状態で学習者自身に一定の観点で構築できるように育成するシステムの開発を行う. このシステムで取り扱う課題の変更に伴い,平成27年度の「観点に対応していない属性の選択の誤り」を「一定の観点で構築されていない誤り」へと修正する必要がある.この修正は,平成27年度までに開発した属性の観点情報元に,一つの階層構造に含まれる全属性において二つ以上の観点が存在する場合に検知する方法で実現する. 並行して,平成27年度中に行った実験をより精密に行うことを予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた金額の内,旅費についてインフルエンザに伴う海外出張のキャンセルに伴い,当初予定していた金額の一部を使用することができなかった. さらに,物品費について,当初購入を予定していた機器であるSonyVaioProはタブレット機能や重量を加味して,MicrosoftSurfaceの購入へと変更することとなったが,その際の稟議入力の日程調整の都合により次年度予算としての購入を予定している.
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次年度使用額の使用計画 |
大きく予定額がずれた物品費については,平成27年度に購入を予定していたものと同程度の機器を平成28年度に購入する. また,旅費については当初の予定より多く発表を行うことで利用する.
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