当該年度は前年度に引き続きデジタル教材と小テストの改善を行いながら授業を実施し、学習ログの収集を行った。また小テストを実施する授業を1科目増やし、4科目において授業中に実施が可能になった。またMoodleのコースログに記録された時刻データに対して行う文字列の前処理において、年・月・日・時刻などの時間を表すカテゴリの生成方法について改善を行った。これによりピボットテーブルで複数のタイムラインをインタラクティブに操作できるようにした。 開発した手法は時系列クロスセクション分析の枠組みに基づいており、授業改善と学習分析の支援を行うことが目的である。生成した時系列クロスセクション表では、複数のインターバルにおいて履修者の閲覧状況が数値で再現できるようになった。開発したエクセルマクロ(TSCS Monitor)によって生成される時系列クロスセクション表は、複数のタイムラインを備えており、全体的な視点と部分的な視点の切り替えを行い、様々な視点から観察することが可能である。時間の経過とともに学生の教材閲覧状況が数値とグラフで把握できるようになり、授業中に教師の指示に従って教材を開く履修者の反応が可視化できるようになった。 また授業中に教材を開かない履修者や、指示から遅れて開く履修者の存在が、時系列クロスセクション表の数値データから区別できることや、教材ごとに閲覧状況に差があることも明らかになった。これらの分析結果は授業中の説明や使用した教材などについて改善が必要な部分を見出すことにつながり、今後の授業改善に役立てることが可能であると考える。
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