研究課題/領域番号 |
15K00508
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
近藤 邦雄 東京工科大学, メディア学部, 教授 (20205553)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンピュータグラフィックス / 3Dコンテンツ / 演出手法 / ライティング / カメラワーク |
研究実績の概要 |
映像制作工程のディジタル化に伴い,シナリオやキャラクターの制作,および演出手法の研究が行われ,視聴者の興味を保つとともに満足を与える制作手法が提案されている.しかし,それらは,経験則に基づいたものであり、十分なデータに基づいた分析が行われておらず、かつ主観的であり,定量的な評価指標はない.そこで本研究は,映像コンテンツの制作支援と高品質化のために,ライティングデザイン支援手法の開発と、脳波計測(Electroencephalogram, 以下「EEG」)による演出デザインの評価方法の確立を目的とする.このために次のことを行った. 1.脳波計測実験:映像コンテンツのタイムラインに沿ってどの周波数域の脳波がどれくらい出ているかを測定した.複数の映像において,同様の効果があるかを今後調査する. 2.心拍計測実験:ストーリーの展開に沿って,心拍数が上下することが分かった. 3.アイトラッキング実験:被験者が映像コンテンツのタイムラインに従って,キャラクターの顔を中心に追っていることが分かった. このほか,演出技術の分析のために,カメラワークや構図の分析にも取り組み,ライティング効果との関係の分析にも展開できる可能性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一年目の計画に従って,ライティングデザインを対象に研究を進めており,既存のアニメーション,映画のライティングのシーン収集,および,3次元CGによるシーンの再現を行ってきた.より良い演出のために,カメラワークの分析も併せて行うことにした.これによって,初期のライティング情報の体系化がより充実した内容になると考えている.
きわめて多数の研究者に興味を持たれたことから業者への注文数が予定数を大幅に超えた,アイトラッカーの納入がたいへん遅れたために,計測実験を十分に行うことができなかった.このために,映像コンテンツ制作のための重要な演出におけるライティングとともにカメラワークの調査分析を計測実験の事前準備として行った.
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は,まず,ライティングデザイン手法で明らかにしたシーンと脳波計測によるEEGデータの比較を行い,この印象変化の共通ルールを見つけ出す.1年目で制作した3DCGの光源データとEEG データとの関係を分析することによりそれらの特徴と共通性をあきらかにする.このとき,シナリオ情報を生かしたライティングの登録検索手法を提案する.さらに,ライティング情報を,演出意図に合わせて登録したり,検索したりするライティングデザイン支援手法を検討する.そして,ライティングのシミュレーションに適した入力手法と制御手法,より複雑なライティングのための直観的なインタラクティブな制御方法を提案する.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の予算が40万円として,国内外の発表を計画したが,映像コンテンツの計測実験の遅れから,十分な評価がまだできていないこと,さらに2016年度に,本研究に密接な国際会議があることから,旅費の一部を次年度に使用することとした.
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次年度使用額の使用計画 |
主に次に示すように,旅費,謝金,消耗品費に利用する.1.映像コンテンツの制作における演出,特にカメラワークや演出に関係する2016年度の国際会議での発表,国内学会における研究発表に旅費を利用する.2.大量のデータ収集と整理のための作業に対して,謝金が必要である.3.研究発表参加費,論文投稿費,PC関係消耗品に使用する.
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