本研究は,映像コンテンツの制作支援と高品質化を目的とした.本研究の成果は次の通りである. 1.映像分析に基づき,映像全体のなかで,登場人物の行動や登場方法などが与える影響についてフォラー映像を題材にして明らかにした.特に,ライティングやカメラワークの情報を精査し,データベースとしてまとめた.これはAFGS2017(Liselloteら)にて発表した. 2.映像コンテンツには複数の登場人物が現れることが多く,その登場人物の関係の分析を行った.ロボットの戦闘,敵キャラクター登場における恐怖,登場人物の回避行動など様々な関係を分析して,カメラワークやライティングのデータを収集するとともに,3次元CGによって演出支援システムを構築した.この成果は,AFGS2017(Xuら)および,映像表現・芸術科学フォーラム(中釜ら,高村ら)で発表した. 3. シナリオ情報とディレクターの経験を分析して,3次元シーンにおける自動ライティング手法を提案した.これによって,映像制作時のライティング作業の効率化が実現できた.この研究成果は,AFGS2018(Andreasら)で研究発表した. 4.短編CGアニメーションを視聴して,アニメーションにおけるキャラクターの脳波を計測した.特に視聴者である被験者の視聴時における集中と注意の変化とその特徴を分析した.この特徴的な部分とアニメーションにおけるキャラクターとライティングの設定の関係を定量的にあきらかにした. 本研究課題の実施によって,映像コンテンツ制作におけるライティング情報抽出法とライティングデータベースの構築手法が確立できた.これによって,映像コンテンツの制作支援と高品質化に貢献できることを明らかにした.
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