脂肪酸の水素、炭素の安定同位体比は、脂質の供給源や過去の環境復元、生産/消費プロセスなどを知るための有用なツールとして様々な分野での活用が期待されるが、現在その利用は、前処理、特に誘導体化に関わる難しさによって妨げられている。本研究では、アルコールとクロロギ酸エステルを用いた新たな脂肪酸の誘導体化(エステル化)法によってこの問題を解決することを試みた。この方法では、容器中で脂肪酸と試薬とをしっかりと混合することのみで、室温下、数分間で、安全かつ簡便に反応が進行する。また、反応時にいくらかの水の混入を許容できることから、湿度が高い環境下でも湿気を気にすることなく作業ができる利便性を有している。
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