研究課題/領域番号 |
15K00523
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部) |
研究代表者 |
奥村 智憲 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主査 (20649636)
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研究分担者 |
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 教授 (90293919)
山本 勝彦 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 再雇用 (70574101)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 揮発性炭化水素 / 対流圏オゾン / エアロゾル / 光化学オキシダント / イソプレン / モノテルペン / 土壌水分量 |
研究実績の概要 |
本研究では土壌水分量が関西における主要な森林植生の葉からの揮発性炭化水素放出量に及ぼす影響について,苗木を用いた操作実験及び森林フィールドでの観測により調査した。 植生の葉から放出される揮発性炭化水素は気孔を通して放出されており,イソプレン(C5H8)がもっとも多く,次にモノテルペン(C10H16)とセスキテルペン(C15H24)のテルペン類が占めている。 関西における代表的なイソプレン放出種である落葉広葉樹コナラのイソプレン放出能(葉温30℃・光合成有効光量子1000μmol/m2/sにおける放出速度)は,苗木を用いた土壌水分量の操作実験の結果,葉の気孔開度が低下後もイソプレン放出能は低下せずに,極端に土壌水分量が低下した場合のみ低下し,潅水24時間以上経ても元に戻らず,低いままであった。また,フィールド調査においても,一般的に植生は土壌水分量が低下すると日中の気孔開度の低下が起きやすいが,操作実験と同様にコナラのイソプレン放出能は土壌水分量や気孔開度の影響を強く受けなかった。以上のことから,夏場の極端な乾燥時以外ではコナラのイソプレン放出能は土壌水分量の影響を受けないと考えらた。一方で,草本の竹種である孟宗竹を対象としたフィールド調査の結果,孟宗竹のイソプレン放出能は気孔開度の低下とともに低下した。本研究の結果から植生のイソプレン放出能に及ぼす土壌水分量の影響は植生により異なり,植生毎に土壌水分量の影響を調査する必要があると考えられた。次に,本州における主要な針葉樹(テルペン類放出種)である杉と檜の苗木を用いた操作実験の結果では,どちらの樹種においても土壌水分量が低下した際にモノテルペン放出能(葉温30℃における放出速度)の低下が一部の個体でみられたが,低下がほとんどみられない個体も存在するなど,個体差が大きく,明確な結果が得られなかった。
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