京阪奈地域周辺の10地点のアメダス日照時間をもとに期間1988-2005年の暖候期(5月1日~9月30日)の晴天日をひと月に5日程度の割合で抽出した。そして、晴天日の午後に京阪奈地域で卓越する風をもとに、抽出した晴天日446日を弱風日(31%)、西風日(36%)、東風日(13%)、北風日(13%)の4つのタイプに分類し、それぞれのタイプにおける風の日変化の特徴を調べた。 その結果、西風日では、10時頃に大阪湾沿岸で内陸に向かう風、京都盆地で南南西の風が吹き、12時頃までに京阪奈地域を含む大阪平野、京都盆地、奈良盆地の全域で大阪湾から内陸に向かう風が吹くことが分かった。この風は午後になって強まり、16時頃に最大となったのちに奈良盆地,京都盆地,大阪平野の順で弱まってゆく。東風日では、深夜から早朝にかけて京都盆地から大阪平野を横切って大阪湾に向かって風が吹き、日の出後にその風が強まる。午後になってその風を逆転させる海風が大阪湾沿岸で発達してくるが、京都盆地や奈良盆地への海風の侵入はほとんど見られない。京阪奈地域では伊賀方面からの東風が終日卓越する。北風日は5月と9月に多く見られる。京都盆地から奈良盆地に向かう風が12時頃までに吹きはじめ、午後の気温の高い時間帯に強まる。弱風日の京都盆地、奈良盆地の午前中の風は弱く、夕方の時間帯に大阪湾からの海風が大和川に沿って奈良盆地南部に侵入してくるが、京阪奈地域までは到達しない。 これら4タイプの地上風は、潮岬、米子、輪島の850 hPaの風の風向・風速と密接に関係していることが分かった。京都盆地や奈良盆地、大阪平野の内陸側の都市域では、日の出後の混合層の発達に伴い、一般風の影響を受けた風が10時頃から地上で卓越しはじめ、その後に大阪湾から侵入する海風の影響が重なるものと解釈される。
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