平成27および28年度は、トリチウムガスモニターシステムの空気中トリチウムガス濃度に対する感度を上げるため検出器 (比例計数管) 周りの改良を行った。①比例計数管からの信号の立ち上り特性を、比例計数管の陽極芯線、計数管ガス (PRガスまたはメタンガス) の流量および圧力を変えて詳しく調べた。②比例計数管の陰極材料 (SUS、アルミニウム、カーボンシート、カーボンガラス、アルミナイズドマイラ膜) を変えてバックグランド計数を調べた。①および②で得たデータを基に、検出器 (比例計数管) 周りの最適化を行った。その結果、空気中トリチウムガス測定用比例計数管の構成および条件を次の様に決めた (有感体積:5 cm径x 60 cm、陽極芯線太さ:40~50 μm、陰極材料:100 μ厚保アルミナイズドマイラ膜、計数管ガス:PRガス、流量:150 cm3/min、圧力:50 kPa)。最適化した比例計数管4本を装備して空気中トリチウムガス濃度に対する感度を調べた。現段階で絶対値を決めることはまだ難しいが、1000 minの計測時間で感度は法規制値 (3x10-3 Bq/ml) を充分下回っていると確信できた。 平成29年度はこのことを実証するための作業に集中した。トリチウム水から発生させる微量の蒸気をシステムに導入し、定常運転中の計数率と排気ガス中のトリチウム計数 (液体シンチレーションカウンターで計測) との比較により検出効率を決め、感度の絶対評価をする。現在、トリチウム蒸気の導入を可能にするため、計数管ガスと空気との混合ガスをシステムに流すためのガス回路を製作中である。今後、本研究の目的を達成するためにも、この感度の絶対値を決定する作業を続けるつもりでいる。 本研究で得た比例計数管の性能に関わる新しい知見はその都度学会発表をした。また、我々の開発したトリチウムガスモニターシステムはトリチウム水の化学反応で発生するトリチウムガス量の連続モニターにも応用できることが明らかになった。
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