研究課題/領域番号 |
15K00539
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 守 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (00030031)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 放射性物質 / セシウム134 / セシウム137 / 落葉樹 / イメージング・プレート / シールド / 飯舘村 / 福島第一原発事故 |
研究実績の概要 |
2015年に飯舘村反田地区・山林、および沼地区・山林を長期に貸借して、山林に自生する楓などの落葉樹木を決定し、葉の採集を開始した。葉の採集は葉の成長する2015年6月と、落葉の季節10月の二回に分けて行った。残念ながら10月は落葉が進んでいて、採取時期が少し遅く、多くの葉が落葉していた。飯舘村反田地区、沼地区ともに2011年の福島第一原発事故後、6月には山林中の環境放射線レベルは毎時10マイクロシーベルト程度であったが、この5年で、急激に下がり3マイクロシーベルト程度となっている。杉や檜などの常葉樹の葉の落葉のサイクルは4-5年である。この事実は福島第一事故直後に常葉樹の高所の葉に付着した放射性物質が山林表面に落ち、かつ、樹木がγ線を遮蔽することにより、結果として環境放射線レベルが下がることに起因すると解釈される。決して、山林に降下した放射性物質の総量が少なくなったわけでは無い。
採取した葉はイメージング・プレートによって、地面から樹木に吸収され、葉に届いた放射性物質(主に半減期2年のセシウム134半減期30年のセシウム137)の吸収状況を調べた。低い放射線環境バックグランドで測定するため、イメージングプレート周りのシールドを強化し、低バックグラウンド放射性物質イメージ測定を可能とした。
研究結果の一部を京都大学・基礎物理学研究所で11月に開催された研究会で紹介した。講演内容は23ページの英文レポートとしてまとめた。放射性物質は、毎年、山林地面から落葉樹の葉に蓄積されて、落葉を繰り返して行く。したがって、落葉樹に貯まる放射性物質量の測定は、山林地面に蓄積され、浸透する放射性物質量の経時変化を推定する良い測定量となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
貸借した山林持ち主、飯舘村役場の村長はじめ、関係者の協力が大きい。
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今後の研究の推進方策 |
6月の葉の採取時期を少し早め、10月の葉の採取時期を9月に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
イメージング・プレートでの測定が長時間必要であることが分かった。このための基礎測定を2015年度に行った。研究計画を早めに進展したいので、イメージング・プレートのシールドを強化するための資金を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年は6月初旬、9月後半に落葉樹採集を行い、イメージング・プレートによる低バックグランド測定を継続し、放射性物質吸収の径時変化がどのようになっているかの手がかりを確定する。
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