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2016 年度 実施状況報告書

福島原発事故後の樹木への放射性物質吸収経時変化

研究課題

研究課題/領域番号 15K00539
研究機関大阪大学

研究代表者

藤原 守  大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (00030031)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード福島第一原発事故 / 飯舘村 / 降下放射性物質 / 137Cs / 落葉樹への吸収 / イメージングプレート
研究実績の概要

平成27年度に引き続き、6月と9月に福島県飯舘村小宮反田の庄司久氏の所有している山林、及び小宮沼平の沼惇氏の所有の山林に出向き、落葉樹の葉の採取を行った。福島第一原発事故によって放出され山林に降下した放射性物質(主に半減期30年の137Cs)の樹木による吸収の時間経過依存を測定するのが目的である。どちらの山林でも空間線量率(地面から1m高い地点)は2011年6月の30マイクロSv/hのレベルから大幅に減少して1.5-3.0マイクロSv/hレベルと下がっている。採取した落葉樹は葉形を保つように専用シートに挟み乾燥させた後、大阪大学に持ち帰り、イメージング・プレートによる測定を行っている。測定結果の一部は平成27年11月6日に行われた京大基礎物理学研究所での講演発表会のプロシージング論文として平成28年5月に発表された。イメージング・プレートによる落葉樹の葉に吸収された個々の放射能イメージング測定は約3日程度かかるので、現在も多数枚の葉の測定が継続されている。飯舘村は山々に囲まれた美しい村である。これらの研究成果は、今後、山林での降下放射性物質の長い時間経過での挙動を明らかにし、住環境や除染について考えるための基礎データとなる。
一方、大阪大学核物理研究センターを中心として、大学学生に環境放射線を系統立って教育する必要があるとの要望があった。本科研費に参加している放射線に対しての広汎な知識と経験を持つ教員を中核として、飯舘村で「環境放射線を学ぶ研修プログラム」を行い、学生に対しての正しい放射線に対する理解をしていただこうとの要請があった。いずれは、大阪大学の全学的プログラムとして運用するためのパイロット・プロジェクトとして9月19日-23日の期間で約15名の学生を集めて、研修教育プログラムを実施した。同プログラムは、平成29年度も実施の予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

飯舘村山林の落葉樹を採取し、樹木に吸収した放射性物質の葉への吸収を測定している。福島第一事故後まだ5年程度しか時間経由していないので、放射線物質吸収はわずかである。事故後、放射性物質は山林地面にも降下したが、主に、常緑樹の葉などに吸着したものと考えられる。事故後5年も経過すれば、常緑樹の葉はすべて地面に降下したと考えられる。これらの放射性物質は、一時、枯葉の降り積もったリター層に留まり、その後、バクテリア、動物などに食べられ、大地循環過程に進む。樹木に放射性物質が吸収されていくのはまだまだ時間がかかる。本計画の成果を達成するために、これからも、根気よく測定を継続していく。

今後の研究の推進方策

葉の採取と吸収された放射性物質のイメージングプレートによる地道な測定を継続していく。研究成果をまとめ、成果発表を行っていく。並行して、大阪大学での「環境放射線を学ぶ研修プログラム」にも協力していく。

次年度使用額が生じた理由

9月に葉の採取を行ったが、この葉の採取は飯舘村で大阪大学がパイロットプログラムとして開催した学生への放射線教育実施と併用して行った。科研費での出張について目的外使用にあたる余分な滞在日数があり、事務手続き上の問題を回避するために飯舘村までの出張旅費は、核物理研究センターが支弁することとなった。このために次年度使用額が大幅に増えた。

次年度使用額の使用計画

世界での学会発表などでの使用を考慮し、成果を研究論文として残す。

備考

上記のwebpageに掲載されたreportは2015年11月5-7日に京都大学基礎物理学研究所で開催された研究会での講演をもとに作成された英文レポートである。2016年6月10日に公開された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 福島第一原発事故により汚染された大規模土壌放射線調査から何を学べたか?

    • URL

      http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~manabe/proceedingsdraft.html

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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