研究課題/領域番号 |
15K00540
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
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研究分担者 |
林田 直美 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00420638)
福島 芳子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (30737200)
折田 真紀子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90737305)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会医学 / 福島 / キノコ / 放射性セシウム |
研究実績の概要 |
2011年に発災した東日本大震災、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故では、主に半減期が短い放射性ヨウ素と、半減期が比較的長い放射性セシウムが環境中に放出された。震災から6年以上が経過した現在、市場に流通している食品については、基準値(100Bq/kg)が設定され、これを超える食品については流通しないシステムが確立しているため、基準値を超える放射性セシウムが検出されることはないが、野生のキノコや山菜、野生動物の肉などには高頻度に放射性セシウムが検出されている。一方で、福島県は「里山文化」が長年に渡って育まれた地域であり、春には山菜、秋にはキノコ狩りを楽しむことが住民の楽しみとなっている。そこで本申請では、事故後福島県下で初めて「帰還・帰村」を行った福島県川内村において、住民、川内村役場との全面的な協力体制の元、村内に自生するキノコや山菜に含まれる放射性濃度を測定し、その採取場所を同定することで「キノコマップ」と「山菜マップ」を経年的に作成している。すでに、平成25年度から28年度まで、4回の野生キノコの採取と放射性セシウム濃度測定、マッピングが完了し、その結果をとりまとめて論文をすでに作成し、投稿した段階である。今後は、キノコ以外の食材、特に山菜や自家消費野菜についても経年的なデータを取りまとめる、論文化をすすめるのに加え、当初の目的であったデータベースの作成、住民へのデータ公開についても進めるものとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに、本研究の成果についてはその第一報を英文専門誌に発表した(Nakashima K et al. PeerJ, 2015)のに加え、経年的なキノコ中のセシウム濃度の動態についても結果をとりまとめて論文を投稿した段階である。結果については平成28年3月に川内村において住民説明会を行い、今後の方向性等を協議するなど、住民と一体となった研究の推進を図っている。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き「キノコマップ」の作成を行い、その結果を川内村において住民を対象とした結果説明会を行うと同時に、山菜のサンプリングの結果をとりまとめて論文作成を進める。さらには、蓄積されたデータをデータベース化し、住民が簡便にその放射性セシウムの測定結果にアクセスできるシステムを川内村内に構築し、住民の安全・安心を担保する。
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