研究課題/領域番号 |
15K00543
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
津山 尚宏 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10335747)
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研究分担者 |
阿部 悠 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00722472)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 低線量放射線 / 細胞応答 / メタボローム / 蛍光分子分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、低線量放射線照射により生じる細胞内・外環境の変動について、分子標的プローブを用いた蛍光イメージングによりレドックス状態などを測定すると同時に、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)による代謝物変動解析などを行い、多面的な理解をすることを目的としている。 本年度は前年度に作成したDNA損傷初期応答遺伝子(ATM, ATR, DNAPK, NBS1, Ku70など)を標的としたshRNA発現レトロウイルスベクター導入ヒト繊維芽細胞をもちいて解析を進めた。蛍光プローブで解析した酸化ストレスでは、照射による増加に加え、特定のshRNA導入によっても増加が認められた。shRNA導入細胞ではgammaH2AXでモニターしたDNA二本鎖切断が増加していたことから、損傷誘発による増加と考えられた。代謝変動については、我々が以前に報告した核酸代謝物や脂質代謝物の変動が再現性良く検出されたことに加え、shRNA導入によりポリアミン代謝経路の特定の分子の増減が認められた。また、shRNA導入細胞の低線量照射実験では、特定の経路の代謝変動の抑制や増強が認められることから、DNA鎖切断を端緒とする特徴的なシグナル応答が代謝調節を介して細胞機能に関与している可能性が示唆された。他方で、数十種の代謝物を同時に解析可能な、13C/15N同位体標識クロレラ抽出物を添加した親水クロマトグラフィーによるメタボローム解析系を構築することに成功した。さらにLC-MS条件の最適化と新規データベースを作成し、放射線誘発代謝変動の網羅性を上げることを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は11月開始であったため、当初の実験計画を遂行することが時間的に難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究計画に記載した未了の研究項目について完遂を目指す。特に前年度に構築した定量分析系により精度の高い解析を行う。同時に、DNA損傷初期応答遺伝子ノックダウン細胞にて検出された指標分子候補の応答機構と生理的な役割について解析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始が初年度11月であったので研究計画が遅れているため、計画書に従い、予定していた研究計画を遂行するために使用する。
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