X線照射装置および放射性セシウム線源を用いて、低線量の放射線照射が神経の成長過程に対してどのような影響を及ぼすのかを培養皿中で維持した細胞を用いて調べた。その結果、一過性のX照射(100~500 mSv/5分)と極低線量率下の持続的γ線照射(200 mSv/年)では神経の成長過程がわずかに促進されることが分かった。一方、異なる低線量率下での持続的γ線照射(200 mSv/5日)の場合、神経の成長過程は明らかに抑制されていた。以上の結果は、低線量率照射の神経成長過程に対する効果は、線量率により異なることを示しており、神経の成長が盛んな胎児への環境放射線影響の調査における有益な情報となる。
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