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2016 年度 実施状況報告書

細胞骨格接着分子プレクチンの放射線誘発DNA損傷応答における新規機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K00546
研究機関金沢医科大学

研究代表者

松井 理  金沢医科大学, 医学部, 助教 (60288272)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードプレクチン / DNA損傷応答
研究実績の概要

放射線照射後のp21の発現誘導に関わるPlectin分子種を明らかにするため、以下のようにして、GenBankに登録されている全8種類のtranscript variantのcDNAをクローニングし、C末端にEGFPを融合させた組換え蛋白質発現プラスミドを作製し、それらを用いて解析を行った。まず、全てのtranscript variantはどれも約14kbととても巨大であることから、全領域をそれぞれ2~3kb程度からなる6個の領域に分割して、それぞれU2OS細胞のtotal RNAよりRT-PCR法により増幅、クローニングした。各塩基配列を確認し、変異のある場合はデータベース通りの塩基配列に修正し、変異のないcDNAを得た。全てのtranscript variantについて、siRNAに耐性となるよう塩基置換を導入した後、全6領域をつなげることによりcDNAの全長を得た。さらにこれらをpEGFP-N1に導入し、Plectin-EGFP融合蛋白質発現プラスミドを作製した。次に、これらを用いて、全Plectin分子種について細胞内局在を調べた。Plectinは様々な細胞骨格蛋白質と結合し,おもに細胞骨格間をつなぐクロスリンカーとして働いていると考えられている。各発現プラスミドをU2OS細胞に導入し、蛍光顕微鏡で観察したところ、全Plectin分子種が細胞質内で細胞骨格様の局在を示した。さらに、このうち、isoform 1、1a、1c、1eの4種は、一部が核内にも局在した。次に、siRNA処理によって細胞内Plectin量を減少させ、それにより放射線照射後のp21の発現誘導が低下したU2OS細胞に、前述の様々な発現プラスミドを導入することにより、どのPlectin分子種がp21の発現に関与するか調べたところ、isoform 1c、および1bを導入した時にのみ、放射線照射後のp21の発現量が回復した。以上の結果から、放射線照射後のp21の発現誘導にはこの2つのPlectin isoformが関与していることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初の計画よりも大幅に遅れて、各Plectin分子種の動物細胞発現プラスミドの構築が完了した。計画が大幅に遅れた主な原因としては、PlectinのcDNAのサイズが非常に大きく、このため、PCRでcDNAを増幅する際、予期しない変異が多く入ること、また、この確認のためのDNAシーケンスに膨大な時間を要したことが挙げられる。加えて、変異が存在した場合に、変異の修正、確認にも多大な時間を要した。Plectin分子種の発現プラスミドが構築できたことにより、各Plectin分子種の細胞内局在、放射線照射後のp21の発現誘導に関わるPlectin分子種を明らかすることができ、当初の研究目標の一部を達成することができた。

今後の研究の推進方策

計画の大幅な遅延の原因は、各Plectin分子種の発現プラスミドの構築が予定通りに進まなかったことによるが、この問題は前述の通り既に解決している。今後は、放射線照射後のp21の発現誘導に関与することが明らかになったisoform 1c(および1b)について、研究計画に従い、解析を進めていく。

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公開日: 2018-01-16  

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