研究課題
タモキシフェンは抗乳がん剤として現在最もよく使用されている薬剤の一つであり、女性ホルモン・エストロゲン・E2と競合し、乳がん組織に存在するエストロゲン受容体ERに結合して、抗腫瘍効果を発揮する。しかし、タモキシフェンの副作用は実に多種多様であり、激しく、重篤なものが多い。我々は最近になって、タモキシフェンが特異的に非常に強く結合する受容体が乳がん細胞だけでなく、一般の細胞においても小胞体膜、あるいは細胞核膜に存在することを発見した。本研究課題の目的は特に、乳がん細胞においてタモキシフェン受容体を同定し、この同定された受容体に結合しないERアンタゴニストを新規な抗エストロゲン剤として設計・合成することである。本研究課題の最終年度の平成29年度には、まず、平成28年度の引き続き、タモキシフェン受容体の同定に取り組んだ。昨年度にリストアップされた約10種のタモキシフェン受容体の候補タンパク質について、それぞれのmRNA遺伝子に対するsiRNAを3種類の乳がん細胞についてそれぞれ導入し、標的タンパク質の発現阻止の条件下に置いて調べた。その結果、タモキシフェンの結合が有意に、顕著に減衰される候補タンパク質が数種の同定に成功した。これらが目的の当該タモキシフェン受容体であるかを、発現タンパク質を用いる受容体結合試験等によって今後引き続き精査する。また、新規な抗エストロゲン剤の開発については、エストロゲン受容体には強く結合するものの、タモキシフェン受容体には結合しない化合物について、数種の化合物の設計・合成に成功した。そして、これらが抗エストロゲン作用、すなわち、乳がん細胞増殖抑制作用を示す高活性な化合物であることを確認に成就した。
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