研究課題/領域番号 |
15K00579
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
波多 宣子 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (90134999)
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研究分担者 |
田口 茂 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 名誉教授 (80089838)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高濃縮抽出 / ビスフェノールA / カドミウム / ニッケル / 鉛 |
研究実績の概要 |
有機イオン会合体相その場生成/マイクロ液相抽出法における基礎的研究として,金属イオンやビスフェノールAが定量的に水相からその場生成させた有機イオン会合体相に抽出されるための条件や,有機イオン会合体相の組成比を求めた。 環境分析への応用として,有機イオン会合体相その場生成/マイクロ液相抽出法によるカドミウム,ニッケル,鉛の濃縮/黒鉛炉原子吸光光度定量法を開発し,環境水に応用した。また,微量ビスフェノールAのイオン会合体相への高濃縮抽出/HPLC定量法を開発し,環境水へ応用した。 得られた研究成果は,日本分析化学会第64年会,The 2nd Asian Symposium on Analytical Chemistry,および,2015年日本イオン交換学会・日本溶媒抽出学会連合年会(第34回溶媒抽出討論会)において口頭あるいはポスターにより発表した。発表題目は以下のとおりである。 (1) Formation of Organic Ion Associate Phase from Aqueous Solution for Enrichment and Determination of Trace Heavy Metals in Environmental Water Samples By GF-AAS,(2) 水相から生成する有機イオン会合体による微量ビスフェノールAの高濃縮抽出/HPLC定量法の開発と環境水への応用,(3) 水相からの有機イオン会合体相の生成を利用する微量成分の分離濃縮と定量―環境水中のCd, Ni, Pbの5-Br-PAPSキレート生成/抽出とGF-AAS定量―,(4) 水相からの有機イオン会合体相の生成を利用する微量成分の分離濃縮と定量―微量ビスフェノールAのイオン会合体相への分配挙動とHPLC定量―.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機イオン会合体相その場生成/マイクロ液相抽出法における基礎的研究として,カドミウム・ニッケル・鉛やビスフェノールAが定量的に有機イオン会合体相(IAP)に抽出されるための条件,有機イオン会合体相の組成比を求めることができた。また,有機イオン会合体相その場生成/マイクロ液相抽出法によるカドミウム,ニッケル,鉛の濃縮/黒鉛炉原子吸光光度定量法,および,ビスフェノールAのHPLC定量法を開発し,環境分析に応用することができた。 それらの成果を,日本分析化学会第64年会,The 2nd Asian Symposium on Analytical Chemistry,および2015年日本イオン交換学会・日本溶媒抽出学会連合年会(第34回溶媒抽出討論会)に合わせて4件,口頭あるいはポスター発表を行っている。 「水相からの有機イオン会合体相の生成を利用する微量カドミウム,ニッケル,鉛の分離濃縮と黒鉛炉原子吸光光度(GF-AAS)」に関して現在論文を執筆中である。 以上より,概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1. 基礎的な研究に関しては,27年度の内容を継続し発展させる予定である。構成イオンである有機陰イオンと有機陰イオンの種類を変え,あるいは目的とする化学物質の種類を変えて,イオン会合体の生成の有無,透明なイオン会合体相の生成の有無について検討する。目的とする化学物質としては,性ホルモンである17β-エストラジオールなどを考えている。 2. 環境分析への応用に関しては,重金属(レアメタルを含む)などの黒鉛炉原子吸光光度(GF-AAS)定量に関し執筆中の論文を完成させる。加えて,特定の重金属イオンを有機イオン会合体相その場生成/マイクロ液相抽出後,吸光光度法により定量できる方法を開発する。遠心分離機を利用できない場合もあることから,膜分離なども検討する。 ビスフェノールAなどの有機イオン会合体相その場生成/マイクロ液相抽出法/HPLC定量法を開発する。マイクロ液相の構成成分である有機陰イオンや有機陽イオンが測定に影響を与える可能性があるので,紫外可視部に吸収の小さい有機陰イオン,有機陽イオンを選んだり,逆抽出を検討したりするなど,構成成分の影響の低減を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度は,九州などでの研究成果発表を予定していたため,旅費が高額になると考え,物品費を抑制した。 しかし,九州で開催された日本分析化学会第64年会およびThe 2nd Asian Symposium on Analytical Chemistryでは,低廉なパック旅行を利用することができ,また,2015年日本イオン交換学会・日本溶媒抽出学会連合年会(第34回溶媒抽出討論会)では,近距離だったため,旅費を低く抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度には,北海道などでの学会発表を予定している。遠方のため,旅費が予定(12万円)よりも高額になることが予想される。 また,研究成果を雑誌論文として発表するための論文別刷り代として,6万円では不足することが予想される。 そこで,旅費や論文別刷り代に回したいと考えている。
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