研究実績の概要 |
最終年度は、主に化粧品や医薬品ごみ容器内に残存する内容物が埋立地管理へ与える影響について検討した。埋立処分される不燃残渣に着目し、不燃ごみ中の化粧品や医薬品等を抜き取ることによる、不燃残渣への効果について調査した。 A自治体の不燃ごみ処理施設において、破砕前手選別時に二日間の抜取作業を実施した。二回の抜取り作業において、それぞれ、不燃ごみ約4トンから、約50kg(1.2wt%)、1,200~1,400点の化粧品、医薬品等を抜取・回収した。また、回収した製品の分類は、これまでの調査と同様に、化粧品が最も多く、70%程度であった。 不燃残渣の調査は、化粧品や医薬品ごみ容器を抜き取った不燃残渣2検体と通常の前処理で生成した不燃残渣14検体について実施した。調査方法は一時保管時(コンテナ内での調査)における発生ガス及び温度、さらに、廃棄物水溶出試験を行い有機汚濁成分濃度等について調査した。 破砕後保管日数の異なる状況を比べた場合、破砕後初期のコンテナ内残渣温度は高く、かつVOC濃度もある程度高いが、時間の経過とともに温度、VOC濃度ともに低下し、13日経過後ではほぼ一定値、状態が安定することがわかった。一方、有機汚濁成分濃度は、一時保管日数に依存しておらず、ばらつきが大きく、顕著な傾向はみられなかった。 化粧品等のごみを抜いた不燃ごみの不燃残渣の場合、保管現場での感覚(匂い)では、違いがあったが、VOC濃度、有機汚濁成分濃度ともに、同程度の保管日数の不燃残渣と比べ若干低いが、化粧品等を抜いたことによる明確な差異ではなかった。不燃ごみ中の化粧品や医薬品等ごみの割合が1wt%程度であり、残存内容物量はさらに少なく、また、処理装置内への付着等も考えられ、かつ、化粧品の中には水溶性ではないものも多いこと等が明確な抜取効果が観察されなかった要因であると考えられる。
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