炭酸ガス(CO2)は、地球温暖化問題に大きく寄与している物質の一つとして知られている。したがって、CO2の大気中濃度の削減が重要となってきており、CO2は様々な方法で変換することが出来るが、その中でも光電気化学的還元は CO2を付加価値の高い物質に変換できるため、CO2の削減と同時に、生成した還元生成物を再利用することで、エネルギー問題も解決できる可能性があることから注目を集め、研究が進められてきている。TiO2は、光触媒として耐久性に優れ、経済性、安定性、実用性などで多くの利点を持っている。そこで本研究では、溶媒としてCO2の物理吸収液として用いられているメタノールを使用し、 TiO2アノード光電極と金属カソード電極を用いたCO2の光電気化学的還元を行い、その還元特性を評価した。 TiO2光電極は、Ti板を1 % HF水溶液中での陽極酸化法により作製した。実験は、カソードに金属電極、アノードにTiO2光電極(30×20 mm)、参照電極に銀擬似参照電極を用い、ナフィオン117で仕切ったH型セルで行った。電解液として、支持電解質を溶解させたメタノール溶媒を用いた。実験は、CO2ガスをカソード側にバブリングして飽和させた後、TiO2光電極に紫外光(LED 365 nm )を照射しながら光電解を行った。 CO2の光電気化学的還元では、還元生成物として一酸化炭素、ギ酸メチル、エチレン、メタンの生成が確認された。カソードにCuを用いた時、他の電極ではほとんど得られなかったメタンやエチレンの生成を確認することが出来た。選択性の変化は、CO2還元がカソード電極上で起きることから、電極に使用した金属の特性に影響されたと考えられる。
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