1)超臨界水で処理した廃電子基板の粉砕と単体分離度:主に試料へ衝撃を与えるロッドミルおよび撹拌粉砕法を用いて超臨界水処理した廃電子基板を粉砕し、脆くなったガラス繊維の選択的粉砕および金属の単体分離を検討した。ロッドミルによる粉砕では、重いステンレス棒によりガラス繊維が細かい粉末になるケースが多かった。邪魔板付きミルの粉砕効果は高く、棒の直径15 mm以上、回転数80 rpm以上になるとガラス繊維はほぼ粉砕され、銅板と完全に単体分離することができた。撹拌粉砕においては、インペラの直径あるいは回転数が上昇すると、インペラの接線速度が上がり、金属の単体分離度が高くなることが分かった。セルに邪魔板が有る場合、金属の単体分離度が高くなった。また、セルおよびインペラの形状、インペラとセルの距離など、粉砕効果に影響する因子を調べた。撹拌粉砕の場合、ガラス繊維は粉になっていない場合が多く、金属も過粉砕されることが少ないことが分かった。 2)粉砕した試料からの金属の分離回収:撹拌粉砕―篩い分けー比重選別の組み合わせで銅回収率は98%以上、Au、Pd、Ag、Sn、Pbなどの金属の回収率は90%以上と高かった。また、忌避元素含有量の少ない銅精錬精鉱を得るため、高品質の銅精錬の精鉱と銅以外の精鉱を分けて回収することができた。 3)浸出液から金属の溶媒抽出:貴金属、レアメタルの抽出において、抽出剤の使用量が一定で希釈剤の割合による抽出率への影響を調べ、酸性抽出剤、中性抽出剤および塩基性抽出剤の希釈剤の割合の影響を検討した。中性抽出剤TBP、DOS、DHSなどによるAu、Pdの抽出では、希釈剤ケロシン、トルエン、ドデカンなどの割合の増加により抽出率が大幅に減少した。酸性抽出剤PC-88A 、D2EHPAによるFe、In、Pdの抽出では、希釈剤ケロシンの割合減少により抽出率が減少したことが分かった。
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